第82回選抜高校野球(3月21日開幕、甲子園)の出場校が29日、選抜選考委員会で決定し、山形中央(山形)が21世紀枠で春夏通じて初の甲子園出場を決めた。昨秋の東北大会で8強進出。地域貢献活動も評価され、山形県勢初の21世紀枠での出場が決まった。創部58年目での悲願達成。本年度限りで定年退職する梶原賢校長(60)に、まずは全国初白星をプレゼントするつもりだ。

 まだ雪深い山形蔵王を一望できる山形中央に、一気に春が訪れた。何もかもが初体験。選考通知の30分以上も前から電話の前に座り続けていた梶原校長が、受話器を取ったのは午後3時5分すぎ。「恥ずかしくない試合をさせていただきます」の一言に、歓喜が爆発した。同校OBで就任6年目の庄司秀幸監督(33)は人目もはばからず大泣き。「野球部というより、学校全体が評価された。卒業生や支えてくれた、たくさんの方々に感謝したい」と喜びを表現した。

 一方、練習中だった選手たちは現代っ子らしく、ネットでいち早く吉報を知った。報道陣の要求に応え、胴上げに帽子投げと一連のセレモニーを終えた奈良崎匡伸主将(2年)は「やるだけのことはやってきたので自信はありました。でも平常心でいるのが大変でした。甲子園レベルでも負けない戦いをしたい」と意欲を見せた。

 東北勢としては、昨春センバツ4強の利府に続く21世紀枠での出場。庄司監督は「(ともに体育科のある公立校で)同じタイプの高校なので、東北から2年連続はないと思っていました」と振り返る。東北地区推薦校に決まった昨年末には「目標は夏だ」と自らの頭を丸刈りにして、浮かれ気味になる選手たちの気持ちを引き締めていた。

 2月のバンクーバー冬季五輪には、スピードスケートの加藤条治とスキークロスの瀧澤宏臣の卒業生2人も出場する。3月いっぱいで定年の梶原校長は「この上ないプレゼントをもらった。忙しい年度末を、うれしく思います」と選手たちの活躍に期待を込めた。【佐々木雄高】