<センバツ高校野球:大阪桐蔭3-1高崎健康福祉大高崎>◇2日◇準決勝

 大健闘だ。高崎健康福祉大高崎(群馬)が1-3で大阪桐蔭(大阪)に敗れ、群馬県勢としては55年桐生以来57年ぶり3度目のセンバツ決勝進出を逃した。0-1で迎えた8回に1番竹内司外野手(3年)の本塁打で追いついたが、その裏、好投していたエース三木敬太(3年)が2本塁打を浴びた。春初出場ながら機動力野球で旋風を起こしたナインは、夏にパワーアップした姿を見せることを誓い、甲子園を去った。

 9回2死。全力疾走した高杉の一塁ヘッドスライディングは一瞬間に合わず、健大旋風が幕を閉じた。それでも強豪相手に最後まで堂々たる戦いぶりを見せたナインには、観客から温かい拍手が送られた。

 意地を見せたのは8回だ。竹内が「高校ビッグ3」と呼ばれる剛腕藤浪の外角直球を左翼ポール際へ流し打ちの同点本塁打。「遅れないように振った。芯に当たりました。球が速かったので当てるだけで飛んだ。入るとは思わなかった」と起死回生の高校通算15号を振り返った。前の試合で痛めた右肘は張りがあり、肌色のテーピングが施されている。痛み止めを飲んでの強行出場だったが、影響を感じさせなかった。

 竹内は守備でも好プレーを見せた。5回1死一塁、右中間に落ちた打球をつかむと素早く二塁中山に送球。中山から捕手長坂に渡り、一塁から一挙本塁を狙った走者を刺した。竹内が「中山を信頼している。いつもアウトにしてくれるからカットに返すだけだった」と話せば、中山は「全然刺せると思った。三木を助けられて良かった。竹内は肩がいいので(距離を)詰めすぎないようにした」。中山も右手首の捻挫で痛み止めを飲んでの出場だったが、練習で何度も確認していた連係プレーが大舞台でもしっかり決まった。

 仲間の攻守にわたる援護があれば、2回戦(神村学園戦)以来、中4日で先発したエース三木も力が湧いた。最速は132キロと控えめながら、スライダーと直球のコンビネーションが抜群。相手の強力打線を7回まで1点に抑えた。同点の8回に2本塁打を浴び、「勝つという気持ちが先走って投げ急いだのが本塁打につながった。1イニング2本塁打は初めて」と振り返ったが、同時に「バックがよく守ってくれた」と感謝した。

 夏に向けた課題も浮き彫りになった。2回1死一塁で二盗を試みた神戸が刺された。好捕手を擁するチームを相手に、持ち味の機動力をいかに発揮するか。長坂主将は「相手捕手の肩が良く、盗塁は難しいと分かっていたけど、それでも仕掛けないといけない。ちゅうちょしたところもあった。思い切っていけなかったのが敗因だと思う。悔いはないが、機動力をもう1回鍛えないと」と、冷静に分析した。もう4強入りでは満足できなくなった健大ナイン。手が届くところまできた日本一へ向けて、再スタートを切る。【斎藤直樹】