＜高校野球ＩＢＡＦ１８Ｕ世界選手権：日本５－１０米国＞◇７日◇予選第２ラウンド◇韓国・木洞

　日本代表は、藤浪晋太郎投手（３年＝大阪桐蔭）の３連投も実らず、初優勝への道が断たれた。１点リードの７回、前日６日の韓国戦で完投勝利を挙げた藤浪を投入するも、失策が絡んで逆転を許した。藤浪は１回１／３を２安打５失点（自責１）で降板した。この日の第１試合で台湾がコロンビアに勝ったため、この試合に勝てば優勝決定戦に進めるところだった。今日８日に、５、６位決定戦で韓国と対戦する。

　決意の３連投も実らなかった。１点差に迫られた直後の７回。逃げ切り態勢に入った日本は、エース藤浪をマウンドに送った。先頭打者に１５２キロをマークし、エンジン全開。しかし、歯車はすぐに狂った。

　野手の連続失策などで１死一、三塁。直球主体で攻めたが連打で２失点すると、バッテリーミスもあってこの回４失点。「暴投など冷静さを欠いていた。しっかり投げれば抑えられたのに、チームのミスをカバーできなかった」。８回１死一、三塁としたところで降板。スタンドから送られた拍手とは対照的に、力なくベンチへ引き揚げた。

　チャンスをもらった一戦だった。前日の時点で、日本が自力で優勝決定戦に進める可能性はなくなっていた。だがこの日、台湾がコロンビアに勝ち道が開けた。米国に勝てば第２ラウンド１位通過で優勝決定戦進出。負ければ５位転落。吉報は昼食前に届いた。「負けられない試合だから、いってくれるか？」。酷と思いつつも打診した小倉全由監督（５５）に、力強くうなずいた。

　１回１／３を２安打５失点。結果敗戦投手となり、日本の初優勝の夢はついえた。５日のコロンビア戦で１００球、６日の韓国戦で１２７球。３連投は公式戦で初めてだった。「準備していたし、疲労もなかった。ベストのピッチングができる状態でした」。責任を一身に背負い込んだが、見えない影響は確実にあった。

　加えて、国際大会ならではのハプニングに見舞われた。７回、クロスプレーで森が三塁走者からタックルを受け、試合が中断。甲子園でもバッテリーを組み続けた女房は、８回裏から負傷交代してしまった。「もちろん腹が立った。でもあれが野球とベースボールの違い。投手は１つのことで一喜一憂してはいけない。動揺はなかったです。自分の力のなさを痛感しました」。日本ではまず遭遇しない経験。ゲームの流れは一気に変わっていった。

　今日８日の最終戦は、韓国との５、６位決定戦となった。「世界一の目標が達成できず悔しい。最後は負けられない。明日はしっかり投げたい」と藤浪。あと１度だけ気持ちを入れ直し、最後にジャパンの意地を見せる。【鎌田良美】