<全国高校野球選手権:花巻東5-4鳴門>◇19日◇準々決勝

 花巻東(岩手)は2番千葉翔太外野手(3年)が1安打4四球と全打席で出塁し、逆転勝ちした。今日20日は休養日で、準決勝は21日に行われる。

 156センチの2番打者、花巻東・千葉の粘りが逆転につながった。1点を追う8回先頭。フルカウントから、ファウル2球。ボールをギリギリまで引きつけ、体の前でさばく。練習通りの左方向へのファウルで粘る。そして四球。二進後、多々野が放ったゴロが一塁ベースに当たって右前に転がった。同点のホームを踏むと、その後2本の適時打で逆転。千葉の出塁で打線に火がついた。

 済美の「内野5人シフト」を打ち破った小兵が、再びスタンドを沸かせた。3連続完投勝利の鳴門・板東対策は「少しでも球数を稼いで後半勝負」と、1回もファウル7球と13球を投げさせた。「1打席目で変化球を全部見せてもらったので余裕を持って打席に立てた」。体を折り曲げてベースに覆いかぶさるように構え、追い込まれるとバスター気味の打ち方に変える。4四球と中前打で5打席全出塁。163球中、1人で41球も投げさせ、苦しめた。

 チームの前評判は決して高くなかった。菊池(西武)大谷(日本ハム)のようなスターはいない。昨秋は県大会初戦敗退。打てないと勝てない、と朝は4時から、夜は11時までバッティング練習することもあった。「うずしお打線」を上回る8安打5点に表れた。

 岸里と鹿糠主将が「あまちゃん」のロケ地久慈出身ということもあり、甲子園からテーマソングを応援に採用。8回の場面にも鳴り響いた。先制2ランを打った岸里は「気を緩めることなく、先輩の記録を超えたい」。4年ぶりの4強。岩手県勢初の決勝進出で「じぇじぇじぇ」と言わせてみせる。【高場泉穂】

 ◆岩手県勢の本塁打

 花巻東・岸里が県勢7本目の本塁打。都道府県別の本塁打で夏の7本は最少。少ない2番目は富山県の9本。