<全国高校野球選手権:横浜隼人6-2伊万里農林>◇12日◇1回戦

 「ハマトラ軍団」が“本拠地”甲子園で勝った。阪神そっくりのユニホームで聖地に乗り込んだ初出場の横浜隼人(神奈川)が、伊万里農林(佐賀)を6-2で破り、関東勢初勝利を挙げた。エース今岡一平(2年)が8安打9奪三振2失点で完投。打っては10安打で6点を奪った。

 マウンドに集まった横浜隼人ナインは、息を吸い込み空を見上げた。4点リードの9回2死一、二塁。「甲子園も、横浜も、同じ空でつながっている。苦しくなったら空を見よう」。青春ドラマのような水谷哲也監督(44)の言葉で1つになる。初出場初勝利に、満員で埋まったアルプスから大歓声が起きた。水谷監督は「選手たちが本当によくやってくれた」と目を真っ赤にして喜んだ。

 県大会の「11」から「1」に昇格したエース今岡が9奪三振と粘りの投球で引っ張った。1回1死満塁のピンチは三振と遊ゴロで無失点に切り抜けた。大事な初戦で流れを渡さない。自己最速を2キロ更新する141キロを出し「いつもピンチは多いので、気にしなかった」と笑顔で投げた。

 阪神そっくりのユニホームに、地元大阪のファンからも大声援を受ける。開会式の入場行進でも一際大きな拍手を浴びた。大会前、新調した帽子のつばの縁取りを、黒から黄色に変えた。全面黄色の阪神により近づけ「ハマトラ軍団」はパワーアップした。

 エース今岡のテーマは「笑って投げること」。開会式前日には「なんばグランド花月」へ出かけた。「笑う練習になった」と本場の笑いを取り入れた。ピンチでも笑い、125球を投げ抜いた。

 県大会同様、犠打のサインは0(セーフティーバント1)で、攻撃的野球を貫いた。次戦の相手は菊池を擁する花巻東。水谷監督は同校でコーチを務めていた花巻東・佐々木監督の仲人も務めている。「攻めて、攻めて、攻めます」と真っ向勝負を誓う。この日は三塁側だが、次戦は一塁側。「やっと“ホーム”ベンチに入れます」。念願の場所で迎え撃つ。【前田祐輔】