DeNAがグリエルに告げる“サヨナラ勝ち”で同率首位に浮上した。本拠地では10年ぶりの広島戦同一カード3連勝。中畑清監督(61)は開口一番「すごい! ナイスゲーム!」と大興奮。延長12回に及ぶ大接戦を制し「勢いのあるカープ相手にこれだけの戦いができた。チーム力がついてきた。首位? 慣れないポジションはやばいんだよ」と、ちゃめっ気たっぷりに笑った。

 延長12回、代打井手、石川がつなぎ、1死一、三塁の絶好機をつくった。舞台が整い、打席に入った3番梶谷は「みんながつくってくれたチャンス。積極的にということだけを意識した」。広島ヒースの直球を中前にはじき返し、勝負を決めた。3年前にノーヒットノーランを許した相手先発のエース前田に黒星こそはつけられなかったが、一丸で立ち向かい、劇的勝利をもぎ取った。

 開幕ダッシュが現実味を帯びてきたチームに、グリエルショックは存在しない。中畑監督は「いない状況の中で準備をしてきたつもり。これですっきり、迷いなく、みんなが集中して勝ちに結集していける。早く決断したことがチームにもプラスになるし、これでエレラもすっきりしたでしょ」ときっぱり。この日、中継ぎ3連投で好投したエレラを含む、現有戦力の外国人4選手を余すことなく起用できる公算が立った。

 振り返らずに前だけを見て進む。「明日からの試合も体当たりで向かっていくということだけ。ヤクルトもいいチームだからね」。中畑監督の頭にグリエルは、もういない。【為田聡史】