国民的アイドルもびっくりの、劇的サヨナラ勝利だ。SKE48・柴田阿弥(22)の弟、法大・柴田圭輝内野手(3年=東邦)が、リーグ戦初安打となる“逆転サヨナラ打”を放ち、慶大を破り、連勝で勝ち点1とした。2点を追う9回1死満塁から右前打を放つと、慶大の「ヨシノブ2世」谷田成吾外野手(4年=慶応)が後逸し(記録は安打と失策)、3人の走者がかえった。

 気持ちは熱く、体はリズミカルに。2点を追う9回1死満塁、アイドル顔負けの甘いマスクを持つ5番柴田が打席に入る。リーグ戦初スタメンの前日から、無安打が続き「どんな形でもいいからヒットが打ちたかった」。1ストライクからの2球目。直球を狙いながら、スライダーに自然と体が反応した。打球が右前に落ちると、「セカンドランナーがかえってくれって」と願った直後に、信じられない光景が広がっていた。

 慶大・谷田が後逸し、打球は右翼フェンスに向かって転々と転がった。2人、3人とかえって、一気にサヨナラだ。リーグ戦初安打が“サヨナラ打”になったヒーローは、すぐに歓喜の輪に吸い込まれた。

 厳しいアイドル界で生き抜く姉譲りの勝負強さに、「ずっと興奮が収まらないです」と言った。姉とは高校時代まで同居し、今年の正月も実家で一緒だった。「家族みんなでご飯食べました。『調子どう?』って言われました」と照れ笑い。姉は選抜総選挙で15位に入るなど、徐々に人気アップ中。「きょうだいですし、自分もそれぐらい頑張りたい」と刺激を受けている。

 柴田はもともと捕手だったが、右肩を痛め、3月に打力を買われ内野手に転向。創部100周年のメモリアルイヤーに、5季ぶり優勝を狙うチームにとって、ラッキーボーイの誕生は頼もしい。試合後の興奮はなかなか収まらなかったが、本屋に行けば姉の水着姿やグラビアなどが並んでいる現状には「複雑です…」とポツリ。この時ばかりは、さすがに勝利の喜びは忘れているようだった。【前田祐輔】

 ◆柴田圭輝(しばた・よしき)1994年(平6)7月11日、愛知県生まれ。東邦(愛知)では3年夏に県大会準優勝。法大では昨年までスタメン出場はなく、無安打だった。175センチ、75キロ。右投げ右打ち。きょうだいは姉と妹。