試練を乗り越えて、また試練が来た。16日から22日の5連勝で一時のどん底を抜けだしたかに見えたオリックスが、また連敗。9回に小島、西野の連打、糸井の4号3ランで4点を返した。だが試合前の超のつく衝撃は、今季最多9失点の完敗につながった。

 「予期せぬアクシデントはあったが、チームとして最善を尽くす。全員でカバーする。ゲームでは今日のメンバーでも勝てないことはない」と森脇浩司監督(54)は振り返ったが、やはり西勇輝投手(24)なくしては苦しい試合だった。

 試合前の練習は和やかに始まった。岸田、T-岡田、山崎福、支配下再登録が決まった近藤が1軍に合流。さらに小谷野の通算1000安打達成を祝福し、普段以上に大きな拍手がアップ前の円陣から響いた。だが練習終了後、球団から「西がキャッチボール中に左顔面にけいれんを起こし、予告先発をマエストリと交代する」という衝撃の発表があった。中継ぎから急きょ先発した助っ人右腕は3回持たなかった。

 試合後、西の診断は「左顔面けいれんで全治不明」と伝えられた。MRI、聴覚、血液検査の結果、異常は見られなかったが、今日29日は自宅安静で様子を見て、出場選手登録抹消の有無を判断する。10年に顔面神経まひを起こしたときには、治るまでに2カ月を要した。当時と現在の症状は違うが「全治不明」は予断を許さない。「勝ってない自分を見に来てくださったファン、チームのみんなに本当に申し訳ない」。球団広報に託した西のコメントは悲痛だ。2軍戦でブランコ、平野佳が復帰するなど明るい材料はある。だが、試練があまりにも多すぎる。【堀まどか】