昨日の友は今日の敵。広島田中広輔内野手(26)が23日、巨人菅野打ちを宣言した。東海大相模、東海大の同学年でチームメート。さらに球宴では全セの選手としてともに戦った。プロの世界に進んでも食事をともにする仲で、互いの活躍は刺激となっている。しかし今は混戦のセ・リーグでしのぎを削るライバル。攻略の突破口は「1番遊撃・田中」が切り開く。

 控え組中心の練習に、田中は野手一番乗りでグラウンドに現れた。石井守備走塁コーチとマンツーマンで守備練習を始めると、フリー打撃では新井コーチから身ぶり手ぶりで指導を受けた。周囲の期待にも、巨人戦のキーマンは冷静に戦いへの思いを口にした。

 「1戦1戦思い切り。勝てるようにやりたい。(対巨人は)僕は意識していませんが、周りからは勝ったら勢いが付くと聞く」

 今季巨人戦打率3割8厘(52打数16安打)の好成績が落ち着きを与えている。今日先発の菅野に対し、昨季は9打数無安打も、今季は「13打数4安打ですよね。打率3割8厘」と、自ら対戦成績をスラスラと答えられるほど、相性がいい。「打席での気持ちは変わっていません。甘い球を待って見ていくのではなく、積極的に振っていきたい」。菅野とは東海大相模、東海大の同学年で7年間ともに汗を流してきた。球宴では4年ぶりにチームメートとなり、一緒に食事もした。「お互い気にしながらプレーしている」とプロでも刺激を受けながらも、試合では負けるわけにはいかない。

 今季は菊池と丸の全83試合に次ぐ81試合に出場し、打率2割8分4厘、5本塁打、29打点。守備ではリーグワーストの13失策も「ミスを怖がって消極的にならないように。小さくならないようにしたい」と打撃同様に積極性は失わない。後半戦を前に緒方監督は「中心選手となってもらいたい」とさらなる成長に期待した。

 広島は借金4で5位だが、首位まで2ゲーム差。1ゲーム差の3位巨人との3連戦は上位浮上へ大事な戦い。緒方監督が「広輔(田中)が1番に入って出塁すると、得点する確率は上がる」と期待する働きが求められる。【前原淳】