2打席連続弾も空砲となった。広島ネイト・シアーホルツ外野手(31)が9号、10号と2打席連続アーチをかけ、2桁本塁打をマークした。広島打線が巨人先発高木勇に苦しむ中、孤軍奮闘の働きも、勝利にはつながらなかった。チームは再び1点差試合を落とし、借金は6に膨らんだ。

 中堅へ、右翼へ。劣勢の重苦しい空気を振り払おうと、シアーホルツは2本のアーチでマツダスタジアムの夜空を切り裂いた。

 「最近は球が見えているし、すごくいい感覚で打席に入れている。僅差で凡退する打席もあったが、今日(25日)の2、3打席目はいいスイングができた」

 前日24日は、3度の得点機で凡退するなどブレーキとなった。この日も1回は2死一、三塁で遊飛に倒れた。しかし、気持ちを切り替えた4回の打席は、初球の甘く入ったツーシームを完璧にとらえた。

 「速い球を頭に入れて準備していた。自分のキャリアでもセンター方向へいい本塁打だった」

 センターバックスクリーンを直撃する推定飛距離135メートル弾で1点差に迫った。5回表に再び2点差となるも、6回にはカットボールを捉えて今度は右翼席へ1発。シーズン途中の加入でチーム2人目の2ケタ本塁打到達となった。

 試合前練習から両手で最後まで振り抜く力強いスイングがシアーホルツの打撃の源だ。米大リーグのマイナー時代にはバッティング手袋をせずに試合に臨むほど、素手で握る感覚を大事にする。来日後も手袋を着けずに出場したこともある。しかし両手でしっかりと握ったバットから快音を響かせるも、チームは再び1点差試合を落とした。「チームの勝利がすべてなので、自分が打っても勝利に貢献できなければ意味がない」と自身の記録には興味を示さなかった。

 借金は6に増え、首位ヤクルトとの差も4ゲームに広がった。緒方監督は「打線の奮起しかないでしょう」と言葉を振り絞った。孤軍奮闘のシアーホルツも勝利に飢えている。

 「チームとしてタフな僅差の試合が続くが、明日はまた新しい1日、新しい試合がある。投手陣はいい投球をしている。攻撃陣がサポートして自分もバットでサポートしたい」

 混戦から離されないためにも、自らの手で明日を切り開かなければいけない。【前原淳】