阪神今成亮太内野手(27)が広島黒田攻略の口火を切った。柔らかいバットコントロールが光ったのは2回だ。1死二塁の先制機。内角の直球系をとらえると、詰まりながらも中前に運んだ。渋いタイムリーになり、幸先よく発進だ。

 「完全に詰まった打球になりましたけれども、逆にそれが良かったのかもしれません。いいところに落ちてくれてラッキーでした」

 前回対戦の6月23日、長野で右翼にアーチをかけていた。大リーグで活躍した右腕に、またも相性の良さを見せつけた。クリーンアップが本調子ではなく、下位打線の状態も打線の得点力を維持する上で欠かせない。この日は6番三塁の今成が好打を連発。8回にも大瀬良の151キロ外角球を逆らわずにライナーで左前へ運ぶ。4試合連続安打を刻み、7月下旬には2割4分まで落ち込んだ打率も、じわりと上昇。コンディションは確実に上向いている。

 「得点圏で打てていなかった。日に日に違うけど、いいところで打てるよう頑張りたい」

 夏場に入り、チャンスで凡退を繰り返していた。三塁は投手の左右によって新井とツープラトン制を敷くが、結果を残せなければ出場機会も失っていく。ギリギリのところで復調。シーズン佳境に入り、長期ロードの初戦は快打連発だ。

 見過ごしてはならないのは鉄壁の守備だろう。この日は守備ミスの連発で広島に逆転負け。そんななかでも三塁に飛ぶ強烈な打球を再三、確実にさばいた。敗れはしたが攻守でのマルチぶりが光った1日だった。【酒井俊作】