8月6日-。広島出身のDeNAドラフト2位ルーキー石田健大投手(22)がプロ初勝利を手にした。プロ4度目の先発マウンドで8回3安打1失点の好投。中日打線を相手に度胸満点の投球を披露し、念願の「プロ1勝」をつかみ取った。チームの今季100試合目を、期待の新星が門出を祝う白星で飾り、2カード連続の勝ち越しも決めた。

 堂々たる姿でマウンドに君臨した。味方打線が勝ち越し、最後のイニングとなった8回。石田がギアを上げて力を振り絞った。代打荒木から始まる相手打線を3者凡退に抑えると、グラブをたたき、拳を握った。「新人らしく、しっかりと腕を振って投げようと思った。特別にいい球はなかったけど気持ちで押していけた」。ここまで9勝を挙げている中日大野に投げ勝ち、プロ初勝利をつかみとった。

 特別な日だった。試合前、宿舎の自室でそっと目を閉じた。「8月6日の(午前)8時15分は、小さなころから毎年習慣になっている。今日も黙とうしてお願いをしてきました」と明かした。原爆投下から70年の時がたっても、先人たちの悲劇を胸に刻み生きている。広島市内の実家から応援に駆けつけた父斉さん(53)と母薫さん(48)の目の前で、広島県人としての思いをグラウンドのど真ん中で誇示した。

 中畑監督も頼もしい新星の出現に賛辞を惜しまなかった。右打者へのスライダーは足元に食い込み、カーブも効果的だった。即戦力かつ、将来性豊かな左腕の好投に「もう石田に尽きる。いい投手だなぁ。威風堂々として雰囲気がある。後半戦はまだまだ勝つぞ」と、久々に声のトーンを上げた。大学4年秋に痛めた左肩の影響で、キャンプは大卒、社会人の新人では唯一の2軍スタート。少し時間はかかったが、焦らずじっくりと歩を進めてきた石田が、チームの今季100試合目に価値ある白星をもたらした。【為田聡史】