巨人原辰徳監督(57)が、エース内海哲也投手(33)の雑草魂に命運を託した。13日は東京ドームで全体練習を行い、クライマックスステージ(CS)ファイナルステージに備えた。十分な調整期間があったヤクルトと違い、巨人は中1日。「今日はつかの間の清涼飲料水。炭酸系のスーッとするような感じだね。リラックスできている時間」と独特の表現をした上で、「そういう立場で戦うのも、いと楽し。今度は挑戦者。(1勝の)アドバンテージ、それがどうしたと。そういう気持ちで戦うのが大事」と逆境をリーグ王者打倒への力に変える。

 そのための重要な初戦の先発は、内海が有力だ。今季は開幕前に左前腕部を痛めた影響もあり、5試合で2勝1敗。だが原監督の絶対的な信頼は揺るがない。

 8月中旬、内海に2軍降格を通達した時だった。言い訳や泣き言は言わず「明日からちゃんとファームで投げます」と前を向いた。凜(りん)とした姿に、復活を確信した。「弱音を吐かない。原点を忘れてない。絶対に戻って来させる必要がある」。4日のヤクルト戦を任せると5回無失点で勝利した。「雑草魂を感じる」というたくましさに、大一番を託す。

 内海は軽めの調整で終えた。セ・リーグは予告先発制ではないため「今日は嫁(聡子夫人)の誕生日なので盛大に祝います。それだけです。(調子は)悪くないです」と話し、締まった表情で帰路についた。今季限りで退任する可能性も十分にある原監督は、「下から1歩1歩を見る。そうすることで目標が近づく」と目線を上げた。リーグ2位から日本一の頂へ。それぞれの反骨心を胸に、巨人がはい上がる。【浜本卓也】