ロッテの下克上の野望は、王者の圧倒的な力の前に破れた。CSファイナルステージは3連敗で終了。05年、10年に続く5年周期の下位からの日本一はかなわなかった。伊東勤監督(53)は「ファイナルに入って、ずっと同じ展開。やっぱり1点が遠かった。選手たちは一生懸命、やってくれた。その分は満足だけど、監督としては負けたことは悔しくてしょうがない」と、どこかさっぱりした表情で振り返った。

 大胆策は不発だった。不振のデスパイネを先発から外した。代わりの4番に巧打の角中を入れ、1番荻野、2番伊志嶺と俊足コンビを並べた。試合前「(長打力で)3、4点を取れないなら、1、2点を取りにいく。確率論」と説明。「スモールのスモールのベースボールです」と、大砲を外して臨んだ。

 成功したようにみえた。2回、先頭角中が二塁打。福浦の右飛で1死三塁の先制チャンスを作った。だが、クルーズ、今江と連続で空振り三振。4回は盗塁死と三振による併殺で、足も絡められず。結局、5回の併殺崩れの1点のみで、スモールベースボールでも点は取れなかった。

 この3試合は、2点、1点、1点。再三のチャンスで1本が出なかった。ファーストステージ初戦で日本ハム大谷を打ち崩した面影はなかった。伊東監督は「良い流れで乗り込んだが、力で完全に止められた」と脱帽した。「点差以上の力の差を感じたのが正直な感想。歯が立たない」と認め、今後は補強で選手層を厚くする必要を訴えた。来季4年目。巻き返しへ向けた準備を始める。【古川真弥】