物欲を断って勝ち運を呼び込む。ヤクルトのドラフト1位原樹理投手(22=東洋大)が“断捨離”の精神に従った。19日、戸田の室内練習場で新人合同自主トレ終了後、寮での暮らしを聞かれ「何も買ってない。部屋にもテレビ、冷蔵庫、ベッドとか最低限のものだけ」と、質素な暮らしぶりを明かした。

 試合用と練習用を使い分けるのが普通のグラブも、1つだけという徹底ぶり。大学3年時、物であふれ返った部屋を見て「無駄なものはいらない」と一念発起した。衣類が詰まった衣装ケース、グラブ20個など…。片付けると段ボール約20個分になり、約4万円の送料をかけて兵庫県内の実家で保管してもらっている。

 シンプルな生活は野球にも直結する。無駄な気負いを「捨」てることが、原樹の投球パターン。「10割の気持ちで投げると、ここぞでミスが起きる。8割くらいで気持ちに余裕がある方がベスト」。昨秋の入れ替え戦(対駒大)でも実感した。「連投しましたが、2戦目の方が気持ち的に楽で、投球もよかった」。プロでも、ただ勝利だけを突き詰める。【栗田尚樹】

 ◆断捨離(だんしゃり) 日常生活に不要なモノを大胆に断つ、あるいは捨てることで物欲から解放されること。ヨガの「断行(だんぎょう)」「捨行(しゃぎょう)」「離行(りぎょう)」という考え方が土台にある。部屋を片づける極意だけでなく、人生訓としても大きな支持を得た近藤麻理恵さんの著書「人生がときめく片づけの魔法」はベストセラーになった。