“青空松井塾”の開講だ。巨人の宮崎キャンプで臨時コーチを務める松井秀喜氏(41)が2日、フリー打撃の前に1軍野手全員に打撃指導した。円陣の中心で、ヤンキース時代の同僚、ジーターやA・ロッドらの名前を挙げながら、軸足に体重を残すという強打者の共通点を伝えた。昨季リーグ最下位のチーム打率からの巻き返しへ、グローバルな打撃理論を伝授する。

 練習メニューにない特別講義が、昼食後に始まった。フリー打撃前、松井氏が打撃ケージ裏に集まった1軍野手全員に語り始めた。円陣の中央で岡本のバットを手に、全選手に分かるよう右打者、左打者と構えを変え実演した。大きなジェスチャーを交えた“松井塾”は約10分間。「私が経験した中で大事だと思うことと、見てきたチームメートで素晴らしい打者の共通点を言いました」と明かした。

 伝えたかったのは「後ろの軸足にしっかり体重を残して打つこと」だった。イメージしやすいよう、ジーターやAロッド、マニー・ラミレスらメジャー屈指の強打者を例に出した。「失敗体験」から得た教訓も披露。松井氏の隣で聞いていた内田打撃コーチは「(メジャー移籍後は)動くボールで一ゴロ、二ゴロが多かったが、軸に力をためることで、遠くに飛ばすパワーは削られても正確性が出たと言っていた」と明かした。

 真剣な面持ちで聞いていた選手は、すぐに「松井理論」を取り込んだ。村田は「自分は力の割合が(後ろ足)6で(前足)4。松井さんは8-2、9-1でもいいと。強いイメージを持った方がいいのかなと試した」と意識しながら練習に臨んだ。片岡も「結果を出してきた方が伝えてくれているので、その言葉を大事にやっていきたい」と、金言に感激の表情だった。

 巨人は昨季、チーム打率がリーグワーストの2割4分3厘と貧打に苦しんだ。松井氏は打線強化が自分の責務と理解している。前日1日の打撃練習後、村田ヘッドコーチと内田コーチに「気付いたことをぜひ伝えてほしい」と、この日の講義をお願いされた。選手を集めての打撃指導は初めてだったが、力になれればと快諾。2軍と3軍の練習も視察し、打者の把握に努めた。13日のミーティングにも参加する予定。世界で通用した打撃理論を、出し惜しみするつもりはない。【浜本卓也】