巨人菅野智之投手(26)が、ルーキーイヤーに封印したワンシームを解禁した。第2クール最終日の9日、ブルペンで102球中15球投げて感触をつかんだ。打席に立った新助っ人のギャレット・ジョーンズ外野手(34=前ヤンキース)は、メジャー142勝のDバックス・グリンキーを引き合いに出して称賛した。

 菅野が3年ぶりにワンシームを披露した。捕手小林誠に合図を送り、鋭く腕を振る。シュートの軌道から左打者ギャレットの手前で逃げるように沈み、外角低めに決まった。102球中15球を投げ、使えることを確信した。「今年は原点に返る。ワンシームを軸に投げていくと思います。試したけど、手応えもあるし、受けてくれた小林誠も『良い軌道』と言ってくれた」とうなずいた。

 今季、最大のテーマである「直球」あっての球種だ。オフは指先強化に重点を置いた。当初は2キロの球を指先で50回持ち上げるのが限界だったが、ハワイ自主トレで強化し、今は3キロを100回以上できるまでに握力がアップした。

 今まで以上にボールが指にかかるようになり、これまで投じてきたツーシームは真ん中に集まるリスクが高くなった。ワンシームは13年途中まで多投したが、当時は相手に的を絞らせない理由で、より変化が大きいシュートを生かすために封印した。だが握力がアップし予測できない曲がりをするワンシームをコントロールできるようになった。

 メジャーで通算122本塁打を放った大砲ギャレットは世界でもトップクラスの投手の名を上げ、菅野を称賛した。「今からでも間違いなく、メジャーでそれなりに活躍できる。イメージが(ダイヤモンドバックスの)ザック・グリンキー」。150キロ前後の直球や持ち球が菅野と似ているサイ・ヤング賞右腕を例えに、お墨付きをもらった。

 「直球の追求」や左打者には内角のボールゾーンから、ストライクゾーンに鋭く曲がる「フロントドア」の習得を目指している。第3クールから実戦も始まる。「分からないけど当面、ワンシームを軸にする投球スタイルでやっていきます。(13日以降の)紅白戦でも投げていく」。菅野の進化はまだまだ続く。【細江純平】

<巨人菅野の球種>

 ◆直球 プロ最速は昨年プレミア12での155キロ。

 ◆カットボール 130キロ台後半~140キロ台前半で、打者の手元で鋭く曲がる。

 ◆スライダー 120キロ台後半から130キロ台前半で曲がりが大きく、空振りが計算できる。

 ◆カーブ 120キロ台のパワーカーブと110キロ台のカーブを操る。

 ◆フォーク 130キロ台中盤~後半で空振りを狙いたい時に選択する。

 ◆ツーシーム 140キロ台前半で打者の芯を微妙に外して、1球でアウトを取りにいく。