ロッテが、楽天との歴史的な打撃戦を制してサヨナラ勝ちした。1回に幸先よく先制した4点がゴングとなり、ノーガードの打ち合いに。6回に12-12と追いつき、最後は延長10回、井口資仁内野手(41)が、抑え松井裕を仕留めた。13得点のサヨナラ勝ちはパ・リーグの最多得点。ズッシリ重い1勝で貯金を6とした。

 井口を中心に面々がはじけた。無邪気すぎる小ジャンプに、壮絶な“どつき合い”を制した快感がにじみ出た。延長10回、13-12のサヨナラ勝ち。球史に残る4時間57分は、ロッテに軍配が上がった。

 最後の最後までノーガードだった。井口は「追い込まれたので、松井君の一番いい球だけを狙った。チャンスは何回もない。早く終わらせたかった」。直前に空振りしたクロスファイアに絞り、決めに来た内角にカウンターで合わせた。41歳のサヨナラ打は、球団史上最年長。速い球足の左前打は、読みとスイングの鋭さで20歳の勢いを上回った証拠だった。

 「1試合分、守った感じだった」。登場は照明がともるはるか昔、2点を追う5回、無死二、三塁での代打。じわりと詰める9点目の犠飛は、迷いなき初球攻撃だった。「打席が少ない。ボールに合ってくれば、とドンドン振っている。チームに勢いと元気がある。グラウンドで(年齢は)関係ないが、助けられれば。最後までいければ強くなる」。技術を積極性でラップした男が控える。だからロッテはこんな試合を拾える。

 デスパイネ、角中、鈴木が猛打賞。先制し、追いつかれ、勝ち越されて追いつき、また勝ち越され、突き放されても追いすがり、追いついて、複雑なサヨナラへの筋書きはできた。伊東監督が「さすが井口。途中、覚えてないです。何が何だか…。イライラして」と話すとおり目まぐるしく、細かなミスも出た。しかし7回以降、試合はぴたりと止まった。

 益田-内-西野-松永。自慢のブルペンが1イニングをまっとうし、歓喜を用意した。2イニング目につかまった松井裕とのコントラスト。井口とともに、手ごまの数で一日の長があった。「こんな野球をしていては、上にいくのは難しい」と締めた伊東監督。総力で首位ソフトバンクを追う。【宮下敬至】

 ▼ロッテが延長10回、13-12でサヨナラ勝ち。サヨナラ勝ちの最多得点には93年5月19日ヤクルトが広島戦で記録した17点(16-16で延長戦に入り、14回にサヨナラ勝ち)があるが、パ・リーグでは04年9月20日日本ハム以来、8度目となるサヨナラ勝ちの最多得点だ。両軍12点以上で延長戦へ突入も珍しく、パ・リーグでは03年5月3日西武-オリックス戦以来5度目。13点で延長サヨナラ勝ちは53年4月23日南海以来、リーグ63年ぶりだった。

 ▼井口のサヨナラ安打は10年6月13日阪神戦以来で通算11本目。井口は現在41歳5カ月で、55年4月9日呉昌征の38歳9カ月を抜くチームの最年長サヨナラ安打。41歳以上でサヨナラ安打を記録したのは15年4月5日小笠原(中日=41歳5カ月)以来だが、パ・リーグでは91年8月8日門田(ダイエー=43歳5カ月)以来、25年ぶり。