「チョー気持ちいい」。DeNA山口がお立ち台で叫んだ。両リーグトップ3度目の完封で、3回目の決めぜりふ。「完封したら、北島さんから僕のものにしようかなと思って」と言って笑った。0封は意識していなかったが、完投にはこだわっている。ケガで実現しなかったが、今季開幕投手を指名されたエースとして、9連戦の頭を任された意味は十分に理解していた。

 最大のヤマ場は4回に訪れた。1死二塁で打席に山田を迎えた。2-1から内角をえぐる。最後の5球目スプリットで遊ゴロに仕留めた。「インコースが効いたのかな。一番当たっているバッター。流れをこっちに持ってこれたと思う」。毎回先頭を1人も出さなかったことも流れを呼んだ。

 コントロールするのはボールだけではない。体重も管理できているのが結果を生んだ。夏場になると体重が増えてしまう。他の選手にはうらやましい悩みだが、暑くても食欲は落ちるどころか増す体質だ。「夏は好きです。暑くても食べられる。だから逆に増えないようにしている。米の量ですね。炭水化物を減らすようにしている」。変化は2、3キロ以内。100キロから103キロを維持し、体の切れをキープしている。

 開幕投手は果たせなかったが、地元横浜開催のオールスター第2戦(16日)では先発を務める予定だ。チームのエースからリーグを代表する投手へ飛躍を果たす1年となる。「いい思い出になると思います」。後半戦巻き返しへのステップでもある。【矢後洋一】

 ▼山口が今季3度目の完封勝利。3完封は菅野(巨人)ジョンソン(広島)を抜き、セ・リーグで単独トップとなった。DeNAでシーズン3完封は07年三浦以来9年ぶり。DeNAでシーズン終了時に完封がリーグ最多となれば、前記三浦以来だ。山口の今季完封は横浜スタジアムが2、京セラドーム大阪が1。狭い横浜でシーズン2完封は、09年チェン(中日)以来。