長打力不足解消の起爆剤が登場した! 楽天の新外国人フェリックス・ペレス外野手(31)が、初物ずくめのあいさつ弾をかっ飛ばした。12日、支配下選手登録されて出場選手登録も果たす。初日に3番左翼で初スタメン出場し、初打席の初スイングで来日1号の2ランを左中間スタンドへ運んだ。連敗を3で止めたチームは4位へ再浮上。CS進出へ向け、球団初のキューバ出身選手が猛打をふるう。

 腰の低すぎる助っ人ペレスが、鮮やかすぎる来日1号を高々とかっ飛ばした。初回1死一塁で初登場。右足がボックスからはみ出そうなほど極端なオープンスタンスに、頭の上でぐるぐると回すバット。注目の中、いきなりのファーストスイングで、西武ポーリーノの外角148キロ直球を左中間にたたき込んだ。「自分がやってきた中で最もレベルが高いリーグで、初のホームラン。きっとこの先もこの1本を超えるものはない」。大興奮でベンチの歓喜の輪に飛び込んだ。

 そり上げた頭と、右腕のタトゥーという見た目とは裏腹の礼儀正しい性格。7月3日の来日後に覚えた最も好きな日本語は「アリガトウ」。1軍合流後はすれ違う選手や首脳陣にひたすら頭を下げ続け、梨田監督からは「びっくりするほど真面目やね。頭をぺこぺこして、優しすぎる。大丈夫かな」と驚かれた。理由を問われれば「野球を続けていく中で、精神的にも成長しなければと思ったんです」と腰を折り曲げながら丁寧に説明する。優しい表情から、メキシコではスペイン語で子供を意味する「ニーニョ」の愛称で親しまれた。ヒーローインタビューでは「イッチョウケンメイ、ガンバリマス!」と日本語も披露し、両手を合わせてまた深々と頭を下げた。

 心は穏やか、打席では頼れる姿が本質だった。試合前にはベネズエラで同僚だった西武メヒアと喜びの再会。プレゼントされた打撃用手袋は「サイズが大きすぎたので」(ペレス)使用しなかったが、本塁打の後には祝福の言葉を受け取った。ポーリーノとは昨年の同リーグで対戦し3打数2安打。「おかげで緊張せず臨めた」と、謙虚な男には巡り合わせも味方していた。梨田監督は「やれそうな感じがある」と高評価。今季のチーム40本塁打目で、チーム本塁打が12球団最少と苦しんでいたチームに光明を運んだ。【松本岳志】

 ◆フェリックス・ペレス 1984年11月14日生まれ、キューバ出身。10年にレッズとマイナー契約。メジャー経験はなし。マイナー通算は690試合で打率2割8分8厘、67本塁打、364打点。今季メキシコリーグのモンテレーでは64試合14本塁打。186センチ、86キロ。左投げ左打ち。

 ▼初打席本塁打=ペレス(楽天) 12日の西武16回戦(プリンス)の1回に記録。14年5月31日乙坂(DeNA)以来58人目(パ・リーグ28人目)となり、楽天では初。外国人選手としては14年5月15日メヒア(西武)以来23人目。