逆襲の号砲を鳴らした。「フレッシュオールスターゲーム2016」にウエスタン選抜の5番右翼で先発した阪神ドラフト6位板山祐太郎外野手(22)が2回、右翼ポール直撃弾を放った。優秀選手(賞金50万円)を獲得し、1軍再昇格に向け、金本監督へ猛烈アピールだ。MVPは3ランを放った巨人岡本和真内野手(20)。試合はイースタン選抜が快勝し、通算成績を20勝27敗5分けとした。

 全ウの5番を務めた若虎板山が技ありの1発を放った。2回1死。先発の巨人長谷川がタイミングを外しにきた内角113キロカーブにクルリと体を回した。矢のような打球は、ねらい澄ましたかのように右翼ポールに直撃した。

 「うれしいです。ファウルになるかと思ったけど、切れずにいってくれました。最後も変化球だったけど良かったです」

 カウント1-2と追い込まれてから7球粘り、11球目での一撃。アーチを懸けた長谷川とは、成立学園時代のチームメートだった。板山が1年で長谷川が3年。1年夏からベンチ入りしていた板山とは親交が深かった。「首を振って変化球だった時、ん? 思いましたけど」と変化球も交えたガチンコ勝負に苦笑いを浮かべたが、試合前に「今日は長谷川さんから打ちます」と話した通り、有言実行の1発だった。

 全ウ唯一の得点を生み出した活躍もあり、フレッシュ球宴の優秀選手賞に選ばれ、賞金50万円も獲得。試合前には掛布2軍監督から「賞金を取ったら山分けだぞ」と冗談半分で言われていたが、実際に手に収め「僕の独り占めです」と笑顔を浮かべた。

 「いいところも課題も出たので、しっかり修正して頑張っていきたいです」

 前半戦、1軍では新人ながらクリーンアップを任された。29試合に出場し打率2割2分8厘、4打点、本塁打0…。結果を残せないまま6月3日に2軍降格した。若い力が低迷チームの浮上のカギになる。金本監督も期待を寄せるドラフト6位が、最高の手土産を持ってシーズン後半からの巻き返しを図る。【梶本長之】