秘密兵器は赤パプリカ! 阪神にFA移籍した糸井嘉男外野手(35)のコンディショニング指導を行うトレーナー桑原弘樹氏(55)が11月30日、来季のキャリアハイ達成に太鼓判を押した。今オフから呼吸持久力を高めるサプリメント「オキシドライブ」(江崎グリコ)を本格導入したことが判明。球界史上2人目の両リーグ盗塁王へ、今季53盗塁を超える走りっぷりに期待をかけた。

 糸井がマル秘サプリメントの摂取を始めていた。赤パプリカに含まれる天然色素「パプリカキサントフィル」を配合したものだ。この色素は酸素を運搬する赤血球の機能低下を防ぎ、呼吸持久力を高めるパワーを持つ。糸井のコンディショニングを指導する桑原氏がマル秘サプリ摂取の意図を説明する。

 桑原氏 30歳を超えると呼吸持久力が落ち、走った後に疲労感が残る。そこを改善するということです。

 桑原氏によれば、糸井はもともと体調管理について勉強家だった。約1年前、ヒアリングで疲労の原因を分析。その時々の体に合ったサプリを摂取することでプレーの質がさらに向上したという。今年8月から試験的にマル秘サプリの摂取を始め、疲労蓄積で苦しみがちな8月に打率3割2分6厘、14盗塁ともに月間最高成績。シーズン終盤まで安定したプレーを続け、53盗塁でタイトルを獲得。今オフから本格導入を決め、1日1回、練習前に粉末タイプを水に溶かして摂取している。

 桑原氏 あれだけ大きな体をフルに使えば疲れやすいのは当たり前。例えば燃費がいいコンパクトカーと時速300キロのフェラーリとでは日々のケアが違う。フェラーリはハイオクガソリンを入れないといけないし、タイヤの摩耗もこまめにチェックしないといけない。糸井選手も同じです。

 糸井は今、江崎グリコ・事業開発部スポーツフーズグループ萩原雅浩マネジャー(47)のサポートも受け、ストイックな体調管理、食生活を続ける。朝は疲労回復効果のあるグルタミン、トレーニング後は筋肉の張りを取るBCAAを摂取。試合中も体調に合わせてサプリメントの配合を替えて体に入れる。妥協なき糸井だから、桑原氏はさらなる進化を信じて疑わない。

 桑原氏 彼の潜在能力は肉体で考えれば、日本ハム大谷選手と横並び以上といってもいい。まだ能力すべてを発揮しているとは言い難い。35歳が36歳になっても筋力、走力は絶対に落ちない。今年以上の成績を来年残してもおかしくない。

 キャリアハイへ、球界2人目の両リーグ盗塁王へ、糸井伝説の可能性は無限に広がっている。【佐井陽介】

 ◆桑原氏とは これまでプロレスラー武藤敬司、ボクシングIBF世界ライトフライ級王者の八重樫東を始め、100人を超えるトップアスリートのコンディションサポートを行う。江崎グリコ退社後、現在はコンディショニング情報の提供を目指し活動する団体「桑原塾」の塾長。江崎グリコのスポーツフーズグループ・パワープロダクションでアドバイザーも務める。

 ◆両リーグで盗塁王 河野旭輝が唯一の達成者。54年阪急入り、56年85盗塁で初タイトル(プロ野球シーズン盗塁数4位)。翌57年も56個で盗塁王。61年中日に移り、62年26盗塁でセ・パ両リーグ盗塁王を獲得した。河野は和歌山工-松下電器(現パナソニック)出身。67年西鉄を最後に引退。その後多くの球団でコーチを歴任。中日の落合博満GMは自著で、ロッテ入団直後の79~80年に徹底したノックで守備の基本を教わったと記している。阪神では81~83年、85~94年にチーフコーチや2軍監督などを務めた。現役時代は174センチ、64キロ。右投げ右打ち。