チャンスを逃さなかった。巨人田口麗斗投手は杉内、内海ら左腕の先発候補が離脱する中、開幕ローテーションの一角に食い込んだ。思い切りのいい投球でローテを守り、チーム唯一の2桁勝利となる10勝(10敗)を挙げた。巨人の高卒3年目以内では88年桑田以来、左腕なら51年の松田清以来、65年ぶりの快挙。11月には侍ジャパンにも選出されたが「10勝して浮かれているようでは。また、ゼロからと思って」と気を引き締めた。

 その言葉通り、すぐに来季への準備を始めた。12月、米アリゾナに渡った。同じサウスポーの山口鉄、今村と約2週間、肉体強化に励んだ。今季はゲーム終盤に球速が落ち、つかまる場面があった。「スタミナを強化したい」。現地で学んだトレーニング法は、いつでも見られるようにスマートフォンに保存して帰ってきた。「トレーニングは継続する」とキャンプインまで鍛錬の手綱は緩めない。

 今オフには日本ハムから同じ左腕の吉川光が加入。手術明けの杉内も順調に回復しており、内海も完全復活の道を進む。先発左腕枠を巡る争いは激しいが「目標は15勝」と力を込めた。巨人先発陣の柱へ-。本格ブレークの気配が漂う。【巨人担当=浜本卓也】