エース対決を制する! 阪神藤浪晋太郎投手(22)が新年早々、日刊スポーツの直撃インタビューで思いの丈を激白した。7勝に終わった昨季に対する反省から、大逆襲を期す17年シーズンに懸ける決意、WBCへの憧れ…。偽らざる本音を明かし「結果を出す。それしかない」と目をギラつかせた。

 -16年はエースとの投げ合いが一気に増えた。大黒柱同士の対決は苦しい

 藤浪 やっぱりエース相手だと単純に勝ちにくくはなる。でも、やりがいはありますよね、絶対。そりゃあ、相手が分かれば「うわ~来たよ!」って思ったりもしますけど(笑い)。いざマウンドに立ったら、勝ってやろうという気持ちしかないですよ。

 -各球団の大黒柱と比較した時、今、自分はどれぐらいの位置にいる

 藤浪 広島ジョンソンさんとか巨人菅野さんとかは簡単には勝てない。1点2点の争いになるし、ビシッといかないと、と思う。そういう人たちと投げ合う時、今はまだ自分が勝ったら金星だと思っている。どっちが勝つか分からないと思われるぐらいまでは、早くなれたらと思っています。

 -昨季は7勝に終わり、批判の声も聞こえてきた

 藤浪 今は経験として大事だったと思います。結果が悪かったらこうなるんだと思い知りました。あらためて(人気球団でファンも多い)阪神はすごいなと思いましたね。1年悪かったらこんなに、みたいな…(苦笑い)。でも結果を出せなかったのは自分。練習しても走っても試行錯誤しても、結局は結果が大事。結果を出す。それしかない。

 -不調の原因は

 藤浪 慎重に考えすぎたのかな、と。うまく投げよう、球数を減らして長いイニングを投げようとか、ツーシームでうまく打ち取ろう、変化球でカウントを取ろうとか、余計なことを考えてしまった。細かい制球力がないのに厳しいコースで一発で打ち取ってやろうと考えて、ボールボールから最後は痛打されたり…。

 -とはいえ9月14日広島戦の初回に自己最速160キロをマーク。その後のラスト2試合は、同22日広島戦で完投勝ち、同30日巨人戦で6回無失点。手応えをつかんだのでは

 藤浪 最後から3つ目(9月14日広島戦)の途中でいろいろ変えて、考えすぎていた部分と思い切ってやりすぎていた部分とのバランスがちょうど取れた。適当に雑に「えいや~」と投げるのはプロとして良くない。かといって、慎重にという制球力もない。打者との距離を詰めて、打者が圧を感じる、押し込めるボールが大事だと分かった。

 -分かっていても気づけない部分だったのか

 藤浪 安定感を求める中で違う考えが出たり、シーズン途中でフォームを変えたりして。でも、それじゃあタイミングを取りやすいし、間がないと気づいた。指にかかったボールを投げたのに、なぜか打たれる。それはボールの質じゃない。間がないとか、迫力がないとか、あとボール1個分の距離を詰めて押し込めていないとか。間合いだったら0・0何秒の世界なんですけどね。いくら速くて精度のいい球を投げても打たれる。野球はゴルフじゃない。自分がバランス良く制球良く投げた球が、イコール打者が打ちづらい球ではない。ゴルフならナイスショットすればいいけど、野球はそれだけではダメ。たとえば岩崎さんは間がある。相手が打ちにくいボールが正解になるんですよね。

 -今年どういう1年に

 藤浪 去年の169イニングは物足りなかった。今年は200回を投げて防御率は2点台前半、2・50以下に収めたいですね。あとは勝率を良くしたい。

 -開幕投手には今年もこだわりはない

 藤浪 個人的にはメッセが一番じゃないかなと思います。去年もメッセの方が良かったですし。誰もが納得する形だと思うので。

 -現時点で3月WBCメンバーの有力候補。立場は第2先発と予想されるが

 藤浪 それでも全然行きたい。WBCは特別です。単純に憧れですね。小学校の時から見てきて、あれだけガッと興奮して燃えた大会はない。優勝がかかったところでイチローさんが打ったり、福留さんの代打先制ホームランとか、興奮する場面が多い。テレビの前で立ち上がって応援するじゃないですか。そういう場に自分も立ちたい。純粋な野球人として、そこに立ってプレーしたい、今度は自分がみせる側になりたい。【取材・構成=佐井陽介】