プロ野球のキャンプ7日目! 担当記者が選んだ「今日の一番」を紹介します。


広島鈴木誠也、地獄トレも最後まで気迫

 広島恒例の強化メニューがロングティー。ローテーション打撃が終わった後に、1箱約200球がなくなるまで打ち続ける。中盤から選手のうなり声が響く。声にならない声から「オラッ」、「クソッ」など、腹の底から出る声だ。スイングが緩くなると、打撃コーチ陣からすかさず声が飛ぶ。終わるとその場に倒れ込む選手も少なくない。

 この日は今キャンプ初のロングティーが行われた。誰よりも大きな声を出して打っていたのが、鈴木誠也外野手(22)だった。残りが半分になると「あと半分!」と言いながら打ち、苦しくなると「限界突破!」、「ここからや!」と叫びながらバットを振っていた。自分と向き合う、殺気立つような雰囲気を醸し出していた。

 そしてラスト10球となると「10割への道!」と言って打った。契約更改の場で目標を問われ「10割200本、1000打点」と言った男。当然、無理だとは分かっている。だが、鈴木にとっては100%の冗談ではないのだ。その言葉に周りも乗せられ、快音が響く。

 鈴木らしさは最後まで出た。ヘロヘロになって打ったラスト1球を打ち損じると間髪入れずに「もう一丁!」と言い放った。自分の惰性は許さない。ド真面目に「10割への道」を歩んでいるのだ。【広島担当 池本泰尚】

重点練習で雄叫びを上げながらロングティーを行う鈴木(撮影・清水貴仁)
重点練習で雄叫びを上げながらロングティーを行う鈴木(撮影・清水貴仁)

ソフトバンク松坂、チーム最多239球

 ソフトバンク松坂大輔投手(36)が7日、今キャンプチーム最多となる239球を投げ込んだ。

 1時間23分に渡る熱投。新たにマメができそうになったためボールを置いたが、まだまだ投げ足りなさそうな表情をだった。

 「(制球は)あんまり良くなかったが、球数を投げられるフォームになりつつある。肩に対する不安が去年よりもないのが一番ですね」。この日は変化球も全球種を解禁。今キャンプで初めてワインドアップで投げるなど、フォーム固めも順調に進んでいるようだ。【ソフトバンク担当 福岡吉央】

ブルペンに入ったソフトバンク松坂は力強く投げ込む(撮影・梅根麻紀)
ブルペンに入ったソフトバンク松坂は力強く投げ込む(撮影・梅根麻紀)

ロッテ石川に侍首脳が熱視線

 ロッテは7日、石垣島キャンプ第2クールがスタート。ブルペンで一番注目を集めたのは、石川歩投手(28)だった。

 理由は、侍ジャパンの小久保監督と権藤投手コーチが視察に訪れたから。石川は当初、この日は投球予定はなかったが、ブルペン入り。33球を披露した。

 投げ終えると、権藤コーチからは「飛ばさなくていい。(代表に)合流してからで十分」とアドバイスされた。さらに、小久保監督からは先発で起用する旨を直接、伝えられた。

 「実感が少し湧いてきたので、より気持ちを入れてやっていこうと思います」と話した。【ロッテ担当 古川真弥】

ブルペンでカーブを投じるロッテ石川(撮影・江口和貴)
ブルペンでカーブを投じるロッテ石川(撮影・江口和貴)

ラミレス監督、田中浩に206本ノック

 DeNAアレックス・ラミレス監督(42)が7日、今キャンプ初めてノックを打った。全体練習後、ヤクルト時代の元同僚で今季から加入した田中浩康内野手(34)に特守。二塁手のレギュラー候補として確認するため約1時間打ち続け、206本のノックを浴びせた。同監督は「心配していたけど、田中選手はすごくよかった。送球も捕球もよかった」と評価した。

 今季は二塁手のポジションに、エリアン、石川、宮崎らがひしめく。「選手には平等にチャンスを与える。与えられたチャンスに、どうパフォーマンスを見せるか」と競争を促した。【DeNA担当 栗田成芳】

DeNA田中浩を相手にノックするラミレス監督(撮影・足立雅史)
DeNA田中浩を相手にノックするラミレス監督(撮影・足立雅史)

中日ドラ6丸山、森監督も絶賛

 中日のドラフト6位、丸山泰資投手(22=東海大)がアピールに成功した。初のフリー打撃登板。注目は直前にマウンドに上がったドラフト1位柳だったが、丸山は同じ右腕からキレのいい直球をポンポンと投げ込んだ。

 巨人横川スコアラーは「ポンとマウンドに行って、ポンと投げてきそう」と中継ぎとして即戦力になるイメージを語った。

 森繁和監督(62)は柳への評価を語っている途中で「それより同じ新人の…丸山か。制球があれだけよければ十分。ここから隅々への制球になってくるけど、ストライクを取る確率が高い」と名前を挙げた。この日の新人評価では丸山が「一番」だった。【中日担当 柏原誠】

プロ入り初の打撃投手を務めた丸山(撮影・前岡正明)
プロ入り初の打撃投手を務めた丸山(撮影・前岡正明)

阪神ドラ1大山、突然のファンサービス

 阪神ドラフト1位大山悠輔内野手(22=白鴎大)が練習後に、ファン約50人にサインするファンサービスを行った。

 突然のサービスにファンも笑顔。過去にはファンへの対応について「ファンにサービスをしていかないといけないと思っているし、大事だと思う」と話していたルーキーが有言実行した。【阪神担当 梶本長之】



オリックス・コーク、目立った独特個性

 オリックスは7日、宮崎春季キャンプの第2クールが始まった。新外国人フィル・コーク投手(34=パイレーツ)は、午前の練習時間に一番目立っていた。他の投手が投球練習で使用しないメイン球場のブルペンでキャッチボールを開始。肩慣らしのはずがどんどんと熱を帯び、本格的な投球練習へと変化した。最終的には113球まで増えていた。別府ブルペンコーチは「最初はマウンドの傾斜を使ってキャッチボールをしたかったみたい。この時期にあそこまで投げる外国人を見たことないよ」と目を丸くした。

 コークはメジャー407試合と豊富な経験がある。気持ちを前面に押し出して投球するタイプ。オフに武術の動きを取り入れたトレーニングも積んだ“武闘派”だ。マウンドではつぶやきにとどまらず、大声を出して自らを鼓舞することも。このキャンプ中には放送禁止用語を連発して、周囲を驚かせた。来日後に覚えた日本語を聞かれて「テレビで言えないことはたくさんある」とニヤリ。陽気でチームメートとも積極的にコミュニケーションを図っている。【オリックス担当 大池和幸】

順調な調整に笑顔を見せるコーク(撮影・渦原淳)
順調な調整に笑顔を見せるコーク(撮影・渦原淳)