ソフトバンク内川聖一外野手(34)が2発の本塁打を放ち、首位楽天とのゲーム差を0・5に縮めた。開幕から7試合で4本、9打点と絶好調で、本塁打と打点でリーグトップに立つ活躍ぶり。今年もキャプテンとしてチームを支える男のバットで、勝利をつかんだ。

 内川が、同じ軌道のそっくりな2つの本塁打を放った。メットライフドームの外で月の光に照らされる満開の桜の木まで届きそうなほどの大きな弧を描いた2本のアーチ。試合後の花見を楽しみにしていた鷹党も大喜びの2発だった。

 「僕が一番ビックリしました。今年はWBCがあったので、オープン戦で打席を重ねておらず、(打撃フォームを)つくりあげていないので、自分に疑いもあるが、結果的にうまく反応して打てた。切れずに飛んでいったのがよかった」

 まずは先頭で迎えた2回だ。菊池の甘く入ったスライダーを捉えると、打球は大きな弧を描き、左翼ポール際の中段席に飛び込む先制弾。そして2発目は6回だった。1死から再び菊池のスライダーを振り抜くと、左翼席まで軽々と運んでみせた。8回にも左前打を放ち、今季初の猛打賞のおまけもついた。

 試合前、親交の深い琴奨菊から長男誕生を報告するメッセージが動画付きで届いた。「彼も大関から関脇に陥落して、お互い苦しんだ経験をしてきた。そういう人に幸せが来るとうれしい。幸せをもらって自分も頑張ろうと思った」。この日の2発は、そんな琴奨菊への祝砲でもあった。

 WBCに出場した打者が軒並み開幕からなかなか調子を上げられない中、内川は違った。開幕から5試合連続安打を放つなど、目を見張る活躍はまだまだ続く。これで開幕から7試合で早くも4本塁打、9打点。実に年間82本、184打点ペースという驚異の打ちっぷり。打率も4割2分3厘と、まさに4番としての働きが、チームに負けない強さをもたらしている。【福岡吉央】