巨人田口麗斗投手(21)がチームに勢いをもたらす今季初完封勝利を挙げた。DeNAを6安打に抑え、昨年8月3日中日戦以来となる2度目の完封を初の無四死球で飾った。防御率も1・60とリーグトップに浮上。負ければ今季初の借金生活突入の危機を阻止し、チームも4カードぶりの勝ち越しに成功。明日23日からの首位阪神との3連戦(甲子園)に向け、最高の形でバトンを渡した。

 この時を待っていた。9回2死一、二塁。田口は116球目、直球で宮崎を二ゴロに抑え、力いっぱい左拳を握りしめた。昨年8月以来となる2度目の完封勝利の味。「(完封は)最初から意識していた。高い目標を持って試合に挑むことを意識してます。持ち味は出せたから(自己採点は)100点」とかみしめた。

 登板前から、完封劇の瞬間をイメージしてきた。今季は、この試合前までの3勝は7回が最長。リリーフ陣の救援を仰いでいた。「チームのためにも最後まで投げられるようになりたいし、ならないといけないと思っています。僕はまだまだということ」と高いレベルを目指した。そして、理想の具現化の鍵を、テンポアップに見いだした。

 この日は早いカウントから、ストライクゾーンでの勝負に徹した。直球とスライダーを低めに集め、フライアウトは3つだけ。許した6安打のうち3本が内野安打で無四球。徹底してゴロを打たせて好リズムを保ち、思い描いてきた最高の結末にたどりつけた。

 防御率は菅野を抜き、リーグトップに躍り出た。「菅野さんほどの能力はないけど、チームからの信頼を勝ち取れるようにやっていきたい。しっかり力をつけたい」。チームを救える、完投能力の高い投手を目指す決意はブレない。

 負ければ借金生活に突入という一戦での完封劇で、チームも4カードぶりに勝ち越し。菅野、吉川光、大竹寛とローテを再編して臨む首位阪神3連戦に、上げ潮ムードで臨める。高橋監督は「今日勝ったからひと安心ですよ。明後日からのことはまた明日考えます」と笑顔を見せた。V奪還という最高の幕切れを目指す巨人に、田口が再び勢いを呼び込んだ。【浜本卓也】

 ◆田口完封の内訳

  ゴロ 16(2併殺)

  飛球  3

  三振  6

 ▼巨人田口が昨年8月3日中日戦以来、通算2度目の完封勝利。無四死球試合はプロ入り初めてマークした。今季の田口はチーム最多の21四死球を与えていたが、見違える投球を見せた。田口は21歳8カ月。巨人の投手で21歳以下の無四死球完封は06年9月3日中日戦の姜建銘(21歳3カ月)以来。左腕では59年7月16日大洋戦の義原武敏(21歳11カ月)以来となった。