決め球の1つをあえて封印した。大きく曲がるナックルカーブを、この試合は2球しか投げていない。バッテリーを組む高城が、浜口の良さを再考した。「原点に戻って腕を振れる球を優先しようと。ナックルカーブはどうしても(腕が)緩んでしまうので」と直球主体に切り替えた。3回には1死一塁から4割打者の近藤に対し、直球でカウントをとり最後はチェンジアップで空振り三振。4番中田は147キロの直球で空振り三振に仕留めた。置きにいかず、攻めて自信を取り戻した102球。女房役に引き出され価値ある3勝目だった。

 いいときも悪いときも、横にはいつもドラ1の先輩で、昨季8勝を挙げた今永がいた。春季キャンプ前、木塚投手コーチから「常に今永のそばにいて、一緒に行動しろ」と密着マークの指令を受けた。浜口は「先生ですね。今永さんが去年経験したことを教えてくれる。『今結果が出るよりも、結果が出ないで修正した方がいい』という言葉がすごく胸に響いた」と感謝する。5月は4試合に先発して3連敗と白星から見放されたが、“先生”の言葉を胸に安定の投球を見せた。

 DeNAにとって鬼門の交流戦。昨季4つの借金を抱え、一昨年は首位で突入したが3勝14敗で大失速した。スタートダッシュへ導いた浜口は「これだけで終わらないようにしたい」。北の大地で吹いたフレッシュな追い風が、鬼門を切り開く。【栗田成芳】