<オープン戦:阪神7-3広島>◇5日◇京セラドーム

 北京五輪野球の星野仙一代表監督(61=阪神シニアディレクター)が5日、島野育夫氏(享年63)の追悼試合となった阪神広島戦で始球式を務めた。名参謀として固いきずなを結んでいた島野氏をしのんだ同監督は「先発が育っていない。JFKに頼りすぎ」などと、V奪回を賭けるチームにムチを入れた。

 星野監督は特別な思いを込め、1球を投じた。捕手役に日本代表・田淵ヘッドコーチ、打席に阪神岡田監督を迎え入れた。ボールはショートバウンドになったが、スタンドからは温かい拍手が送られた。

 「野球を教えてもらった兄貴のような存在。監督のときも、初回に3点、5点とられてあきらめているような様子になると、試合後に『俺たちは選手に最後まであきらめてはいけないという指導をしているのと違うんか』としかられた」

 タテジマのユニホームにそでを通したのは、優勝した03年の11月3日御堂筋パレード以来、1584日ぶり。阪神、中日の監督時代に、名参謀として支えてくれた島野氏を忍んだケジメの儀式。今年8月北京五輪にも「魂もそうだが、2人で撮った写真を連れていくつもりだ」と話した。

 阪神SDの立場になると、グラウンドに注ぐ視線は厳しい。復調を告げる4番金本の一撃には「バットを出したところに当たったな。でも気分悪くはないだろう」と笑いを誘ったが投手陣については辛口だった。

 キャンプ、オープン戦の流れを振り返った星野監督は「すぐ先発の話題になるが先発を育てていない。JFKに頼りすぎだ。リードしてると、どうしてもつなぎたくなるもんだが」と、抑え陣へのしわ寄せを指摘するなど、苦言を呈しながら猛虎復活に淡い期待を寄せていた。【寺尾博和】