<西武5-1ソフトバンク>◇30日◇西武ドーム

 鉄腕がプロの洗礼を浴びた。ソフトバンクの大学・社会人ドラフト1巡目指名、大場翔太投手(22=東洋大)が初黒星を喫した。7回5安打5失点。注目ルーキーらしく?

 1イニング3被弾での5失点と派手に散った。「打たれた感じはしないけど、大きいのを3本打たれると、ああなる。ヒットなら違った結果になったかもしれないし、反省したい」。無四球完封勝利だったデビュー戦から一転、苦い味が口に広がった。

 降板後のベンチで被弾した4回を“復習”した。先頭中島のソロ本塁打、1死からボカチカの3ランはいずれも初球スライダーを打たれた。中島は第1打席に3球ともこの球で攻め二飛に打ち取っていた。「スライダーが切れてて、相手も振ってくれていたので。どちらもストライクを取りにいった」。ストライクからボールにする大場のもくろみと自信は打ち砕かれた。細川には内角低め直球を力で運ばれるなど、打者との駆け引きについて高い勉強代を払った。

 試合前には松中、川崎、本多と談笑。「今日は1番、2番、4番の低調トリオでガツンとやるぞ」と松中が声をかけると、大場は「僕もガツンと行きます」。「お前がガツンといったらいかんやろ」と再び松中。コントのような掛け合いでリラックスしたが、笑えないオチに…。ホークスでの1イニング3被弾は01年5月4日近鉄戦の若田部以来、約7年ぶり。球団名がソフトバンクになっては第1号としてその名が残った。

 プロ2戦目は被弾と黒星に加え、初四死球と初物ずくめ。6回、死球をぶつけたボカチカが一瞬、マウンド方向へ歩き出し、両軍ベンチから選手が飛び出す、緊張した雰囲気も初体験だった。そして、チームは今季初の連敗。王監督は「あの回だけだった。攻めすぎたのかな。この前は良すぎて、今日は悪い面が出た。これからも良かったり悪かったりですよ」。失点した4回以外はゼロを並べ、大場株が揺らぐことはなかった。派手な敗戦の中、自分の存在感だけは曇らせることはなかった。【押谷謙爾】

 ソフトバンク杉本投手コーチ(大場の初黒星に)「初球から振ってくるバッターに対して簡単に入りすぎたのじゃないか。こうやって打たれていくことも勉強。その中で学んでいくことがあればいい。同じ過ちを繰り返さないことだよ」