<中日6-1巨人>◇16日◇ナゴヤドーム

 巨人は中日に連敗で白星の倍の10敗目を喫した。開幕16試合目での10敗は84年以来となる屈辱。強力打線が、2年半ぶりの先発で意表を突いた左腕川井進投手(27)を打ち崩せなかった。先発内海哲也投手(25)は6回途中6失点で降板し、15日の上原に続いて左右のエースがKOされた。

 運は巨人に味方しなかった。6回、一塁走者の亀井がスタートを切った。打席の小笠原の打球が亀井の前を横切り、さらに打球は二塁ベースカバーへ走った二塁手荒木の前へ。亀井は微妙なタイミングで二塁でアウト。ランエンドヒットで広げようとしたチャンスは、併殺であっという間についえた。すべてが悪い方向へ向いた原監督は、ベンチで歯を食いしばって悔しさを押し殺した。

 6回も含め3度、先頭打者が塁に出たが、得点にはつながらなかった。2、5回には7番坂本が無死から安打で出塁したが、9番内海の打撃を考えると、8番古城にバントさせられなかった。何とも巡り合わせが悪かった。伊原ヘッドコーチは「内海が桑田みたいに打ってくれたらバントでも良かったけど。強いチームはツキがある。弱いチームにはツキがない」と、同じような場面で打線がつながった相手を引き合いにした。

 中日先発は左腕の川井だった。大方の予想だった右腕山井と2人、最後まで絞れなかった。篠塚打撃コーチは「予想も割れて、山井と両方あると思ってたから。ここ(中日)は本当に分からない。(川井は)映像も少なかった」と情報戦での苦戦も悔しがった。川井が前回先発した05年に対戦経験のある打者は高橋由と阿部の2人。初対戦に近い相手に苦しめられた。

 反撃の糸口もないままの敗戦に、原監督もしばらく言葉が出なかった。沈黙した後、「1人1人がもっとパワーアップすること。そうじゃないと、なかなか相手と五分に組ませてもらえない」と唇をかんだ。運も実力のうち。ツキを呼び寄せるには、真の力をつけるしかない。【竹内智信】