頼もし鉄腕K、過酷7月「全部投げる!」

 阪神が誇るJFKの一角、久保田智之投手(27)が、勝負所となる7月のフル回転を誓った。28、29日のヤクルト2連戦(秋田)でリーグ戦再開を皮切りに、7月は26試合が組み込まれる過密日程。頼れるリリーフ右腕は「全部投げてもいい」と登板制限を自ら完全に取り払った。ここまでの自身の成績には不満げ。チームに迷惑をかけた分、名誉挽回(ばんかい)の大車輪宣言だ。

 真顔だった。これが久保田の偽らざる思いだった。この日、藤川とともに秋田移動前の甲子園室内ブルペンで投球練習。調整を終えると「7月全試合登板」をぶちまけた。

 久保田

 連戦が続くので全部投げるつもりで。投げさせてもらえるなら、7月全部でもいいです。暑いと思いますけど、自分の場合、暑いからといってバテることはないんでね。

 8月の北京五輪を前に、7月は9連戦を含む26試合が組み込まれている。すでにここまで全66試合中リーグ2位の35試合に登板している久保田。42回2/3を投げ4勝1敗21ホールドの成績。ただし、自身は納得していない。開幕前にはJFKで最も不安定との世論を覆し、防御率0点台を目標に掲げた。だが、ここまで防御率は2・95。これが不満なのだ。

 セの月間最多登板記録は自身も昨年8月にマークした17試合。7月全26試合登板は、さすがにオーバーかもしれないが、本人は最多記録を楽々と更新しそうな強い意気込みを見せた。それほど、これまで勝利を消してしまった先発投手の分、藤川、ウィリアムスにかけた負担分を取り返したいとの思いが強い。

 久保田

 (シーズン登板数が)90試合を超えても全然いいです。それでこれまでの分が取り返せるなら。無失点で結果にこだわって…。たぶん、それでも取り返せないでしょうけど。

 仮に7月26試合を投げたとすれば92試合消化で61試合登板。144試合換算だと95試合ペース。昨年90試合登板の日本記録を作った鉄腕にかかれば、あながち不可能とも思えない。

 中西投手コーチは、すでに過酷な連戦を見込み、リリーフ陣の連投を3試合までに制限する考えを示している。だが投げれば投げるほど調子をあげるタイプと自認する久保田は「遠慮」は無用と言い切った。五輪代表入りすれば、藤川とともに8月に投げられない可能性もある。正念場の7月、とことん右腕を振る覚悟だ。【片山善弘】