<ソフトバンク2-4楽天>◇28日◇福岡ヤフードーム

 やっとの思いで鬼門を抜けた。4時間28分の死闘を終えると、楽天野村克也監督(73)は、満面の笑みでナインを出迎えた。「よく勝てましたね。スタートで変な負け方をしたからどうしても引きずるよ」。開幕2戦連続サヨナラ負けから3カ月。ようやく博多での初勝利をつかんだ。

 重苦しいムードを選手たちがはねのけた。先発した田中は8回まで毎回走者を背負いつつ、9回を2失点で投げ切った。「マーくんが我慢強く投げてくれた。打たれる気はしなかったね。今日は非常に安心して見ていられた。(勝ち投手にならず)かわいそうなことしたね」と合格点を出した。田中自身も「だいぶいい感じで投げられた。80%くらいまで来たと思う」と納得した表情を見せた。12回には選手会長の高須が2点適時打を放ち試合を決めた。「ミスも出ていてムードもよくなかったから、打ててよかった」。チーム全員がもがきながらも、白星をもぎ取った。

 この日の勝利で野村楽天は通算150勝に到達。「150勝?

 早いね。最下位ばっかりなのに」とニンマリ笑顔を見せた。さらに田中が「前祝いですね」と祝福したように、29日は野村監督73回目の誕生日。「白星に勝る誕生祝いなし。岩隈がいいプレゼントをくれるでしょう」と催促した。今年チームから贈られたプレゼントは、この日で36個。最低でもクライマックスシリーズ進出を目指すノムさんには、まだまだたくさんのプレゼントが必要だ。【小松正明】