サムライジャパンに新メンバーが加わった。3月の第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で世界一連覇を狙う日本代表候補に、阪神岩田稔投手(25)が追加招集された。原辰徳監督(50)ら日本代表首脳陣が9日、都内でスタッフ会議を開き、代表を辞退したドジャース黒田に代わる候補選手について検討。実績では劣るものの、左腕での高い潜在能力を買って岩田を1次候補に加えた。

 大きく若返ったサムライジャパンに、また1人若い力が加わった。黒田の穴はとてつもなく大きいが、後ろを振り返っても仕方がない。原監督が自信を持ってその「代役」に選んだのは、伸び盛りの左腕岩田だった。

 原監督

 (黒田の辞退は)残念だけど、サムライジャパンは前に進まないといけない。(岩田は)発展途上で潜在能力があり、まだまだ大きく伸びる可能性を持っている。

 昨年12月に発表された投手陣の1次候補は16人。最終メンバーは13人に絞られるため、ドジャース黒田が辞退しても人数的な余裕はあった。だが、春先のコンディション作りが難しい投手は今後も不測の事態が起こりうる。原監督は「サムライジャパンとして、もう1人必要」と補充を決断。山田投手コーチも「左がもう1枚欲しい」と要望し、11月の段階で代表候補リスト48人の中に入っていた岩田の名前が再び浮上した。

 岩田はプロ3年目の昨季、初めて先発ローテに定着し10勝をマークした。150キロ近い直球と、切れ味抜群の変化球が魅力。この日の会議では経験や実績のある投手の名前も挙がったが、山田投手コーチの「あのカーブ、スライダーはなかなか投げられない」という意見に、他のコーチ陣も賛同。他国の左強打者封じにも必要との考えで、最終的には満場一致で岩田の招集が決まった。

 代表辞退者が出たことによる“滑り込み招集”とはいえ、最終メンバーに残る可能性は十分。豪華メンバーがそろう先発に比べ、リリーフ陣にはまだまだ食い込む余地がある。原監督は「(オフの)トレーニングもしっかりやっているようだし、本人からもタイガースからも心強い返答があった。逆に大きく期待しています」と力を込めた。

 サムライジャパンを支えるのは選手だけではない。この日は打撃投手やブルペン捕手などチームスタッフの選定についてもじっくりと話し合った。米国などライバル国の動向について聞かれた原監督は「まだ周りのことより、自分たちのこと」と素っ気なかった。若い選手たちが存分に力を発揮できるよう、まずはチームの土台づくりに全力を注ぐ。【広瀬雷太】

 [2009年1月10日8時53分

 紙面から]ソーシャルブックマーク