<広島8-1阪神>◇7日◇新潟

 悠ちゃんの虎退治で、新球場に記念星!

 広島斉藤悠葵投手(22)が7日、ハードオフ新潟のオープニングゲームとなる阪神戦に先発し、今季5勝目をマークした。自身3連敗中だったが、粘りの投球で6回1失点にまとめた。6月7日のオリックス戦(マツダ)以来、1カ月ぶりの白星で、勝利に貢献した。打っても赤松真人外野手(26)が2安打3打点の活躍を見せるなど、打線が爆発。投打の歯車がかみ合い、Aクラス浮上に向けてはずみをつけた。

 リリースする指先は雨で濡れ、そして内野安打の連続…。度重なる試練にも踏みとどまった。2点リードで迎えた6回。斉藤は精神力の強さを試された。1死後、金本に四球を与えた直後だ。ブラゼルを打席に迎えたところで、大粒の雨が落ちてきた。打ち取った打球が内野安打になる不運も2度続いた。1死満塁。鳥谷を投ゴロに仕留める間に1点を失ったが、冷静さは消えなかった。

 「雨が降っていたので早く終わりたかった。あれ(内野安打)は(普通の)ヒットと考えて。今日は粘り強く投げられて良かった」

 なおも、二、三塁のピンチで狩野を外角速球で遊ゴロに料理し、何とかしのいだ。同点に追いつかれなかった意味は大きい。直後に打線が爆発し、6回に4得点。5点差に広げ、大勝ムードに導いたのは、紛れもなく斉藤の粘りだった。それでも「5、6回の四球からピンチをつくってしまったり、球数を増やしたりと課題をつくってしまった。あらためて四球の怖さを感じました」と反省を忘れなかった。

 因縁の阪神戦で白星を挙げた。今季初登板だった4月8日には、甲子園で金本に2打席連続アーチを浴びるなど、3回6失点。防御率18・00からのスタートだった。しかし、強打者の金本にもひるまない。2回無死。第1打席ではカウント2-2から、高め速球を投げ込み、空振り三振を奪った。「初回から真っすぐがよかったです。立ち上がりから打者のタイミングを外しながらテンポよく投げることができました」。細心の投球で、6回1失点。自身3連敗中だったが、1カ月ぶりとなる今季5勝目を挙げた。

 引き揚げ際、疲労からくる頭痛を感じながらも、笑顔を見せた。「いつも試合が終わるとアタマ、痛いんですよ。モワーンとした感じでね」。全104球に精魂を込めた証拠だ。ブラウン監督も「球数を多く投げたね。先頭打者に四球を出して、ピンチを出しても投げぬいた。成長したよ」とたたえる。若き左腕が七夕の夜、越後で息を吹き返した。強力な先発陣を中心に巻き返しを図る。【酒井俊作】

 [2009年7月8日11時37分

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