<楽天5-1西武>◇28日◇盛岡

 岩隈が復活した。右ひじ痛で2軍調整もした楽天の岩隈久志投手(28)が9回10奪三振1失点で完投し、6月14日横浜戦以来1カ月半ぶりの7勝目を挙げた。今月12日に1軍復帰してからは2戦連続して6回ももたずに降板していたが、逆転Aクラス入りへ向けた後半戦の大事な“開幕戦”でエースの意地を見せた。

 9回2死。楽天岩隈の116球目。147キロのつり球に、西武GG佐藤のバットは空を切った。今季2度目の完投。6月14日横浜戦以来の7勝目。115球目にこの日最速の147キロで追い込んで、今季初の2ケタ10奪三振。エースは笑顔で言った。「久しぶりに、いい真っすぐが行って、真っすぐ主体の投球ができた。しっかり腕が振れました。完投まで、できた。これを自信にやっていきたい」。

 復活への道は長かった。周囲は勝利を計算する中、勝ち星は増えていかない。「今年は10勝できなくても、シーズン通して投げられればいい」と、チームへの貢献だけを考えた。だが、右ひじ痛のため6月18日から7月11日まで2軍暮らし。「彼の潜在能力はものすごい。気の持ち方1つで能力は開花する」と野村監督は言う。後半戦開幕。エースは、意地とプライドで復活してみせた。球宴休みを利用し、宮城県内の温泉に家族で出かけるリフレッシュも、前半戦との決別には効果的だった。「大事な試合を任された。そこで勝てたのが一番大きい」と岩隈は言った。

 「エースが抑え、4番が打つ。理想的なゲーム。後半戦、彼が頑張ってくれればAクラスへ希望がわいてくる」と野村監督はエースの復活の重みをしみじみと感じていた。【金子航】

 [2009年7月29日8時41分

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