<阪神2-0横浜>◇30日◇甲子園

 打のヒーローはレッドスターだ。阪神の1番赤星憲広外野手(33)が天敵攻略の起点をつくった。初回、中前打で出塁すると、すかさず関本の初球に二盗成功。犠打で三進すると、鳥谷の右飛で一気に本塁へ滑り込んだ。横浜先発三浦の立ち上がりにつけ込み、わずか6球で奪った先取点。「理想的!

 気持ちいいですね」。チームに勇気をもたらす貴重な1点に、胸を張った。

 この試合前まで、三浦の対阪神戦成績は39勝16敗。21回連続無得点に抑えられていた天敵中の天敵だった。その苦手意識を振り払った。特にベース一周は計算に満ちていた。モーションを盗む自信があった。「何度も対戦してる分、研究もできるので」。初球GO。そして鳥谷の浅い右飛にも瞬時の状況判断が働いた。「高いフライが上がってる間、この風ならどうだと、同じ外野手として考えてました」。風はいつもの浜風と真逆。打球が思惑通り右翼後方に伸びた分、吉村は万全の返球体勢を取れなかった。そして間一髪の猛スライディング。三塁どまりに見えた当たりを千金の犠飛に変えた。

 体は満身創痍だ。腰痛や首痛が良化し、20日ヤクルト戦から復帰したが、前日29日の横浜戦の初回、右ふくらはぎに強烈な死球を浴びた。さらに7回の第4打席では工藤の厳しい内角攻めにのけ反った際、再び首を痛めた。トレーナー陣が「せっかく良くなったばかりなのに」と顔をしかめても、赤星は「前半、あまりにも悔しい思いをした。このままでは終わりたくないんです」と逆に力に変えた。

 三浦も撃った後半開幕3連勝は、最後まであきらめないナインの結晶だ。31日からは夏のロード前最後の甲子園で、首位巨人を迎え撃つ。「(何ゲーム差とか)数字の問題ではない。強い気持ちだけを持って戦う。楽しみにしていて下さい」。赤星の反攻宣言が、猛虎逆襲章の幕開けだ。

 [2009年7月31日11時0分

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