女子プロ野球選手、吉田えり投手(17)が所属する関西独立リーグの神戸9クルーズは28日、当初予定の10月分の給与を支払わないことを決めた。資金難から来季への見通しも不安で、リーグ自体の存続を危ぶむ声もある。史上初の女子プロ野球選手として注目されたナックル姫・えりちゃんの未来が大ピンチ-。

 この日、神戸-紀州戦が行われていた兵庫・三田城山公園野球場で、神戸、紀州のほか、明石、大阪の各球団代表と、リーグの壁矢慶一郎代表(63=三重代表)が緊急会議を開き、協議。公式戦のない10月の給与問題が議題に上がった。

 全球団統一で決まっていた選手との契約は2~10月までで月給20万円を支払うというリーグ協約は、資金難から撤退した旧運営会社が作成したもので、無効と確認。各球団が独自で10月分給与を検討することになり、神戸は支払わないことを決めた。10月上旬には、前後期優勝チームによるグランドチャンピオンシリーズが予定されているが、神戸が進出した場合、日割りでの支払いを検討しているという。

 同リーグでは、5月下旬に前運営会社が撤退し、球団への分配金も未払いのまま。球団はそれぞれに資金捻出(ねんしゅつ)に走った。選手も募金活動を行うなどしたが、思うように資金は集まらず。大阪、紀州は選手の給与カットにも手を着け、経営を切り詰める現状で、リーグ自体の財政も行き詰まっていた。

 すでに給与5割カットをしている大阪は10月も支払う予定で、明石は検討中、紀州は支払わない可能性が高い。いずれの球団も、経営状況は厳しく、来季の存続への見通しにも不安が先立つ。来季は三重を率いて参入予定の壁矢代表も「正直、来季があるのかどうかも不安です」とこぼしていた。史上初の女子プロ野球選手として注目されたナックル姫・えりちゃんだが、リーグ自体の存続も危ぶまれる事態に直面した。

 [2009年8月29日8時45分

 紙面から]ソーシャルブックマーク