鬼に「規格外」金棒?

 中日の2冠王トニ・ブランコ内野手(28)が13日、ヤクルトとのクライマックスシリーズ(CS)第1ステージ突破に向け、秘密兵器を手にした。過去にあまり例のない36インチ(約91センチ)の超長尺バット。これまで使っていたものから一気に2インチ(約5センチ)長くし、外角低めの変化球をスタンドに運ぶ準備を整えた。ナゴヤドームのフリー打撃では柵越えを連発。これで、落ちる変化球を持つ館山も石川も怖くない!!

 ブランコがこの日、ナゴヤドームで行われたフリー打撃で特大弾を連発した。ボールはピンポン球のように跳ね上がり、そのほとんどがスタンド上段に突き刺さった。普段から柵越えを連発する怪力だが、いつも以上の「アーチショー」。その秘密は、見た目にも長いと分かる「如意棒」にあった。

 「ホームランを打つためのバットなんだ。いつもより長いんだ」。ブランコが自慢げに明かした。今季は主に34インチ(86・36センチ)のバットを使用してきた。しかしこの日、手にしたバットは2インチ(約5センチ)も長くした36インチ(91・4センチ)。かつて「物干しざお」の異名を取った故藤村富美男(元阪神)は37インチ(約93センチ)。天才的なバットさばきを誇った落合監督は現役時代、35インチのバットを使用していたことはあるが、近代野球で90センチを超えるバットは、まさに規格外のサイズだ。

 練習だけではない。実際にCS第1ステージに、この超長尺バットを使用する可能性は十分ある。ブランコは真剣な表情で話した。「使ってみて良かったよ。明日(14日)も試合形式の練習があるので使ってみたい。CS?

 感じも良かったし使ってみるかもしれない」。

 明確な理由がある。右打者の外角に沈む変化球への対応が狙いだ。第1ステージで対戦する可能性のあるヤクルト館山はフォーク、スライダー。そして石川はシンカー。ともに切れ味鋭い落ちる変化球を持っている。ブランコは「フォークボールやスプリットにも対応できる」と説明した。相手が外角を広く使った、逃げるような投球をしてきたとしても、絶対に届くであろう、このバットの長さを見れば、恐怖心を増幅させるのは間違いない。

 ヤクルトとのCS第1ステージを4日後に控え、バットを替える思いきった判断。それでも来日1年目から本塁打、打点の2冠に輝いた主砲は、本塁打を打つことを重視した、この「ホームランバット」に確かな手応えを感じ取った。【桝井聡】

 [2009年10月14日9時57分

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