<巨人6-2阪神>◇3日◇東京ドーム

 ガッツが虎の連勝男をKOした。小笠原道大内野手(36)が阪神戦の4回に先制の右越え22号ソロを放つと、2点リードの5回2死一、二塁では中前適時打で6連勝中だったスタンリッジを、この回限りで引きずり降ろした。8回には阿部慎之助捕手(31)が右越え32号3ランでダメを押した。8安打6得点の効率の良い攻めで、11安打2得点で拙攻の目立った猛虎打線に打ち勝った。

 本人の第一声より先に、インタビュアーの紹介で球場が熱くなった。「首位奪回の立役者です」。照れながら小笠原がお立ち台に上った。先制ソロを含む2安打2打点。「お客さんが喜んでくれた?

 それが一番です」と大声援を浴びた。プレーでも、トークでも、ファンの心をつかんで離さなかった。

 緊急登板の野間口を勇気づけた。0-0の4回、阪神スタンリッジから右翼へ22号ソロ。真ん中に入ったカーブを逃さなかった。ただ、本塁打よりも「うれしかった」のが、5回の適時打。2死走者なしから工藤、坂本が四死球でつなぎ、松本が2点目の適時打。自らも一、二塁で3点目の中前打を放った。「厳しい試合だったから、1点でも多く取ることが投手の助けになる。みんながつないで、つないでの形だったんでね」と笑った。勝利だけを願うガッツらしかった。

 勝てば首位の大一番。「挑戦者の気持ちでぶつかっていった」と明かした。だが、気持ちは高ぶっても、行動は普段のままだった。この日、全選手の先陣を切って午前11時に球場入りすると、いつも通り、グラウンドで体幹や下半身のトレーニングを黙々と行った。

 変わらないから、長いシーズンを乗り切れる。連日の猛暑で食欲も減退しがち。体重減は避けたいが「その日によって多少、食欲が変わることはある。オレだって人間だよ。でも、そんなに変わらないかな。体重も年だから変わらないんだよ」と豪快に笑った。白坂トレーニングコーチは言う。「ガッツは無駄なものが何もない。1年を通じて同じコンディションを維持するために、トレーニング内容も変えない」。

 試合後のベンチ裏。小笠原は「(7回2死一、二塁で凡退した)最後の打席を反省して、明日につなげたい。今日1勝しただけなんで」と締めた。常に上を目指す。高いプロ意識も変わらなかった。【古川真弥】

 [2010年8月4日8時30分

 紙面から]ソーシャルブックマーク