楽天が、来季新監督として阪神オーナー付シニアディレクター(SD)の星野仙一氏(63)を招聘(しょうへい)する方針を固めた。4日、楽天三木谷浩史球団会長(45)、阪神坂井信也オーナー(62)両球団首脳が関西方面で極秘裏に接触。阪神サイドにマーティー・ブラウン監督(47)を任期途中で電撃解任した経緯を説明し、星野氏にチーム再建を託したい意向を伝えた。阪神球団、そして球団で要職を務める星野氏に礼を尽くし「楽天星野監督」実現を願い出た。阪神の今季全日程終了を待って正式オファーを出す。

 闘将星野に楽天再建を託す。断固たる決意を固めた楽天が迅速に動いた。トップ同士の極秘会談。三木谷会長が仁義を切り、阪神坂井オーナーに願い出た。

 楽天側は、SDという要職に籍を置く星野氏の立場に加え、シーズン佳境を迎えている阪神球団に迷惑の掛からぬよう最大限配慮。田淵幸一氏(64)らの同時入団を想定し、グループ挙げてのサポートなどを確認しながら、動静を注視してきた。2日に真弓監督の続投が判明し阪神の来季骨格が定まったことは、星野氏招聘に向け後押しとなった。坂井オーナーも「星野さん自身の話。うちはSDとして続けてほしいけど、本人の意思だから、もしも相談があったら聞いてみないと」と述べ、基本的には本人の意向を尊重する考えを示していた。

 ブラウン監督を任期途中で電撃解任した決断をした以上、不退転の覚悟で後任をリストアップした。星野氏、東尾修氏(60)桑田真澄氏(42)らビッグネームが候補に挙がった。候補者の中でつけた優先順位の基準は(1)監督経験(2)チームを立て直し、勝てる(3)ファンがわくわくする、魅力ある人物の3点。特に(2)のポイントで、常勝西武を率いた東尾氏と、低迷期の阪神を再建、優勝させた星野氏で微妙に異なった。昨季2位から最下位に沈んだチームを立て直すに、最もふさわしいのは星野氏だった。

 地元仙台では星野氏を歓迎する声が沸き起こり、歓迎する機運が高まりつつある。阪神のレギュラーシーズン最終戦は7日で、楽天の秋季練習スタートも7日。新体制で練習開始がベストだが、クライマックスシリーズ(CS)を勝ち上がった場合は日本シリーズも控えている阪神の10年シーズン終了を待って正式にアタックする。

 監督候補として名前が浮上してから星野氏は「まだおれも忘れられていなかったんだな」と話しており、4月に行われた大阪府内のトークショーでは「人生の最後で、もうひと勝負しようと。闘志だけはありますから。強いチームなら昼寝していても勝てる。私は、弱いチームばかり受け持たされる。でも弱いチームを強くするのが夢でありロマンでもある」と語っていた。たぎる思いは、楽天が礼を尽くして招聘を果たした先に現実となる。竜虎をよみがえらせた闘将に、イヌワシ軍団の未来を預ける。

 [2010年10月5日11時33分

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