<セCSファーストステージ:阪神6-7巨人>◇第2戦◇17日◇甲子園

 こんな終わり方って、悔しすぎる…。真弓阪神の2年目が、日本一への道半ばで途絶えた。1点リードの8回から勝利を託された守護神・藤川球児投手(30)が、2死から巨人小笠原、ラミレスに打ち込まれ、まさかの逆転を許した。一時は4点差をつけながら、クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ2連敗で敗退。阪神の2010年シーズンは、悔し涙で幕を閉じた。

 まさかの光景が現実だった。守護神で沈められた。薄暮の甲子園。照明が照らし出したのは、疲弊しきった藤川だった。アドバンテージは、わずか1点。8回2死二、三塁。ラミレスへの決め球に選んだのは、フォークだった。見逃せばボール球かという外角低め。ただ、宿敵の4番のバットから弾かれた打球は、スタンドの悲鳴とともに中前へ転がった。藤川は襟足から汗をしたたらせながら、逆転のランナーが生還する姿をホームベースの後ろから見届けた。

 巨人に2連敗でファーストステージ敗退。6回を終えて4点差のリードがありながら、逃げ切れなかった。リーグ2位からの逆転日本一を期したが、1歩も前に進むことなく敗れ去った。

 藤川

 自分がやれることをやったから、悔いは残っていない。自分の力は、こんなもんかな。腹を決めてやっているから、悔しさはない。

 また、4番との勝負で涙をのんだ。ファン、ベンチ、そして藤川の頭にも、2年前の悪夢がよぎったに違いない。08年、中日とのCS第1ステージ第3戦。0-0の9回、4番ウッズにフルカウントから、直球を左中間へ決勝2ランを放り込まれた。「何で最後、自分なのかな…」と、巡り合わせをのろった。67試合を投げ。防御率0・67の活躍を見せたシーズンでさえ、1球のミスで責任を背負い込んだ。

 野球の神様は、どこまでも非情だった。初の甲子園開催のCSも、背番号22で勝負が決まった。実に48球中20球がフォーク。「勝負?

 いつもそのつもりです」と受け流したが、本来の投球でなかったことは明らかだった。今季2度しかなかった、8回先頭からのマウンド。ベンチの期待は感じていた。ただ「(シーズン)終盤はバテた感じがあった」と、シーズン中13度の“イニングまたぎ”などでフル稼働した影響を残していた。

 勝負どころの9月。11日ヤクルト戦(甲子園)で、ホワイトセルにプロ入り初の逆転被弾。矢野の引退試合だった30日横浜戦は、村田に逆転3ランを浴び、チームは自力優勝も消え去った。勝ちと負けの天国と地獄のはざまでマウンドに上がるストッパーだからこそ背負う宿命でもある。歓喜と絶望が、守護神を強くたくましくしてきた。

 真弓阪神の2年目は、悔しさとともに幕を閉じた。「また、考えたい」。藤川は静かに笑った。不本意な形で終えた今季を振り返り、雪辱の来季へ。ただ今は、激闘で傷ついた体を癒やす充電に入る。【鎌田真一郎】

 [2010年10月18日10時39分

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