広島が26日、日南秋季キャンプ(30日~11月20日、天福)の参加メンバーを発表し、右肩痛でリハビリ中の広島大竹寛投手(27)も帯同することが決まった。故障で治療中の選手が参加するのは異例。大野豊投手チーフコーチ(55)は「気持ちに刺激を与える」と説明するように、通常メニューをこなすナインに混じることで、発奮材料にする狙い。今季、不振に終わった右腕が南国で復調のキッカケを探る。

 手負いの右腕が宮崎・日南で気分一新の再出発を図ることになった。右肩を痛め、オフに入ってノースロー調整が続く大竹の秋季キャンプ帯同が決定。シーズンで露呈した課題克服の意味合いが強い秋季キャンプへの故障者の参加はレアケースになるが、大野コーチが意図を説明した。

 「肩の状態があるんだけどね。動けるメンバーのなかに入って、気持ちの部分で刺激を与えるということ。(秋季練習も)入ってやれば、しっかりやっている。メンタル的に、こちらに入れておいたほうがいい」

 今年2月中旬の日南春季キャンプ中、ブルペンで270球の投げ込みを敢行してから異変が生じた。右肩が悲鳴をあげ、筆頭候補だった開幕投手どころか、今季初登板は6月1日の日本ハム戦(札幌ドーム)までずれ込んだ。右肩の負傷が影響して、6月下旬には右でん部の肉離れで再び戦線離脱。結局、登板は3試合、わずか1勝の大誤算だった。

 悔しい1年を過ごした大竹は「まだ良くない…。強く投げられない状態です」と苦悩の表情で言う。16日に秋季練習が始まってからも「肩回し感覚」の軽い投球にとどまっている。患部の状態は一進一退を繰り返すが、キャンプ参加は、マンネリを打破させたい首脳陣の心温かな配慮だった。秋季練習まで4カ月近く、故障者がリハビリする3軍で回復に努めた。自宅と大野練習場を往復する日々…。思い切って気分転換を図り、日南で投球以外はナインとともに体を動かす。

 大竹は言う。「(再出発かと問われて)そういう気持ちはあります。そういう気持ちを持ちつつ、肩をいい方向に持っていきたい。一緒にやっていると、みんな投げている。自分で自分を追い込みすぎず、しっかりやる。3軍で離れているよりもいい」。ノースローに期限は設けない。あえて復帰時期のメドも立てない。昨季の10勝右腕は自重しつつ、復活への光を探す。【酒井俊作】

 [2010年10月27日10時24分

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