超イメチェン小嶋は速球派!

 阪神小嶋達也投手(25)が2日、高知安芸・秋季キャンプでシート打撃に登板し、打者9人から4三振を奪った。今季終盤に腕の位置を下げ、球速が突如10キロほどアップ。従来130キロ後半だった直球が、この日は147キロを計測。大化けの気配濃厚で、来季真弓阪神を救う先発候補に浮上した。

 激しく変ぼうを遂げた。安芸の太陽のもとニュー小嶋が躍動した。少し下げた腕の位置からキレ、伸び十分の直球を投げ込む。肌寒い秋に、マークされた数字は驚異の147キロだった。

 小嶋

 真っすぐの威力を上げたい。空振りやファウルを取れるように。左打者をしっかり抑えられるようにとは思っている。先発にしろ中継ぎにしろ武器になるので、左を何が何でも抑えようと思っている。

 キャンプ初のシート打撃。首脳陣の鋭い視線を受けながら、若虎9人を2安打4奪三振。全29球中、17球が直球だ。田上を146キロ直球で見逃し三振に仕留め、左打者3人を3三振。真弓監督が「ものすごく速かった」とうなれば、久保投手コーチも「スピードが速く感じる。明らかに違う」と高評価した。

 1年目の07年はルーキーながら開幕ローテ入りし、2勝をマーク。だが、2年目以降は故障にも苦しみ、今季も1軍4試合で0勝3敗、防御率12・46。今年9月の鳴尾浜、オーバースローの腕の位置を下げようと決意。同じく腕を下げて成功した能見、岩田を見習い、球速が大幅アップした。

 「左打者に嫌がられるように」右足の踏みだしをクロス気味に変更。この日はフォーク、チェンジアップ、直球の数球をオーバースローした。「まだチェンジ、フォークを投げる時にひじが上がってしまう。惑わせられるように直球の時もたまにオーバーから投げています」。二刀流も視野に入れ、再起を図っている。

 もともとは速球派だった。石川・遊学館高02年夏の甲子園は8強。3試合で41三振を奪い、最速148キロの直球を武器に「北陸のドクターK」の異名を取った。社会人時代は最速149キロ。プロ入り後、自己最速はこの日と同じ147キロと本人は言うが、今季1軍で披露した直球の大半が130キロ後半。腕を高校時代のスリークォーター気味に近づけ、快速球が戻った。

 指揮官は「今のところは先発だろうな」と説明。勝負の5年目へ、もう停滞は許されない。まずは1年目07年以来、4年ぶりの1軍春季沖縄キャンプ行きがノルマ。「感覚は良い。最低限、1軍キャンプに行けるように、ちゃんとアピールしたい」。もう、期待を裏切れない。【佐井陽介】

 [2010年11月3日10時59分

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