東日本大震災で祖父母を亡くしたプロ野球巨人の星孝典捕手(28)が28日、故郷の宮城県名取市に震災後初めて帰郷した。ファンや選手仲間に呼び掛けて集まった段ボール80箱分の救援物資を車に積み込み、自宅から6時間かけて両親も避難している名取市立第二中学校を訪れ物資を届けた。直後に駆けつけたのは、震災で亡くなった祖父善太郎さん(83)祖母みつさん(80)の遺体安置所だった。つらい現実と対面しながらも「できることをやっていきます」と前を向いた。

 体育館の中を歩き回り、精いっぱいの激励で避難所に笑顔を呼んだ。年配の知人から声をかけられると「安心した。変わってないね」と笑みをこぼした。子供に求められれば携帯カイロや雑巾にもサインし、Tシャツには「東北魂

 あきらめないで!」と思いを記した。「生まれ育った名取

 大好きな名取

 一日も早い復興を願っております

 名取で育ったことを誇りに

 僕も何事もあきらめず頑張ります

 一緒に頑張っていきましょう」と書いたメッセージボードは体育館の正面に飾られた。

 市内の実家は津波にのみ込まれた。亡くなった祖父母については「厳しさもありましたが、とても優しく、僕に大きな影響を与えてくれた祖父と祖母でした」と自らのブログに記した。この日は南三陸町の避難所も訪れた。「励ましに来たつもりが、逆に励まされた。もっと頑張らなきゃという強い気持ちになりました」。故郷に希望を与えるプロでの活躍を、胸に誓った。【大塚仁】