<ロッテ3-2ソフトバンク>◇29日◇QVCマリン

 育成出身初の先発2ケタ勝利へ、ソフトバンク山田大樹投手(22)が、課題露呈の今季初黒星だ。ロッテ戦に先発し、7回4安打3失点と好投したが、勝負どころの失点に泣いた。許した安打は、すべて2ストライクをとってから。追い込んでからの投球が今後のテーマになりそうだ。日本ハムが勝ったため、チームは首位を陥落した。

 成長の跡と今後の課題がはっきりした。山田本人が自覚している。7回4安打3失点は決して責められる結果ではない。それでも、前を見据えて言い切った。

 山田

 あの1球。その前の球がいい所に行った分、もったいなかった。足りないところを練習して、次勝てるようにならないと。

 悔やんだのは、5回2死満塁でロッテ荻野貴を迎えたシーン。内角直球でカウントを2ボール2ストライクまで戻した。勝負球を投じる前に、3度首を横に振った。低めには制球したが、コースが真ん中に入ってしまった。逆転の3点適時二塁打を食らった。

 ◆2ケタ白星のカギ1

 慎重に

 秋山監督は「あと2球投げられるという余裕がほしかった」。4回、荻野貴に甘いスライダーを安打されたのが背景にあったか、勝負球を含め、5回の場面に投じた全5球が直球。ボールになる変化球で誘う手はあった。

 ◆2ケタ白星のカギ2

 大胆に

 もちろん、山田がさらに飛躍するには大胆さも必要。高山投手コーチの言葉が象徴的だ。「自分の形で放れるときはいいが、走者がたまると甘さがある」。この日2三振を奪ったが、変化球で仕留めたのは0。変化球を投げる際、特に走者を置いた場面で、腕の振りが鈍るのは気にかかる。5回荻野貴の逆転打の直前。1死二、三塁で9番清田に四球。2ボール2ストライクから、2球連続でスライダーを見送られた。変化球で空振りを取る大胆な腕の振りは不可欠だ。

 今季2勝は自らが好投したことに加え、初戦(14日オリックス戦)は打線が5得点、2戦目(21日楽天戦)は8得点と援護にも恵まれた。慎重さと大胆さ。接戦を手中にするには、相反するポイントを巧みに操らなければいけない。

 防御率3・74。試合を組み立てられるようになっており、成長は明らか。今季初黒星を、今後に生かせばいい。先発ローテの一角として2ケタ勝利を挙げる飛躍を遂げれば、意味ある1敗になる。【松井周治】