<中日1-2西武>◇3日◇ナゴヤドーム

 延長戦の背番号「8」にはひときわオーラが漂う。西武平尾博嗣内野手(35)が延長11回、1死三塁から右犠飛で試合を決めた。「いいところで使ってもらっているので」と謙虚に言ったが、延長での決勝打は5月22日の阪神戦に続く今季2本目。昨季1勝8敗1分けと苦手にした延長戦で早くも3勝を挙げている原動力となっている。

 走者を置いての代打成功率は7割5分という西武ベンチの切り札。グラウンドを離れれば、周囲への気配りを欠かさない。キャンプでは担当記者を集めて食事会を開催。東日本大震災が起きた際には、選手会が所沢で行った義援金活動とは別に、募金箱を持って大宮駅前に立った。若手の菊池や親交のある浦和レッズの選手も協力に駆けつけるなど、人を引きつけるおとこ気がある。

 決めたのは平尾だが、二塁打→送りバント→犠飛というプロセスが理想的だった。キャンプから主軸にもバント練習をさせて「1点を取りにいく野球」を掲げてきただけに、渡辺監督も「タフなゲームをものにできた」とうなずいた。打ち勝っていた開幕2カード目以来の貯金「2」には、数字以上の価値がある。【亀山泰宏】