<日本ハム3-5楽天>◇11日◇札幌ドーム

 楽天の新勝利の方程式は「AKB」ならぬ「AKD」だ。日本ハム8回戦は1点リードの7回から「K」小山伸一郎投手(33)「A」青山浩二投手(27)「D」ダレル・ラズナー投手(30)の無失点リレーで逃げ切った。先発塩見貴洋投手(22)が約2カ月ぶりの2勝目。負ければ最下位転落の危機も、連敗ストップで乗り切った。

 こんな守護神に会いたかった。リードを2点に広げた最終回、マウンドにラズナーが向かった。日本ハムの先頭稲葉に内野安打を打たれたが動じない。ハイソックスむき出しのクラシックスタイル。身長191センチの大男は全く表情を変えなかった。一塁の代走村田は韋駄天(いだてん)。金子誠に、二塁へ向かうライン上にゴロを打たせた。二塁内村が村田にタッチし一塁送球。これしかない絶妙の併殺打で切り抜けた。

 最後の打者、代打ホフパワーは遊ゴロで締めた。先発塩見貴洋投手(22)の後を受け、7回は小山、8回は青山が3者凡退でつないだ。3人あわせ走者を1人だけ許したものの、打者9人で封じる準完全リリーフ。AKDセンターことラズナーは「塩見が好投しても勝ててなかったからね。勝ちがついて良かったよ」と自身2セーブ目より、新人の2勝目を喜んだ。

 先発ラズナーを抑えに回し完成した新勝利の方程式。それぞれ、秘める思いがある。15年目を迎えた小山は開幕から状態が上がらなかった。チーム事情から11年ぶりに先発すれば5失点の屈辱。暗い気持ちになりかねないが、周囲へ見せる明るさは失わなかった。月が変わり復調気配。試合前「後もう少しですね。僕が青山に、しっかりつながないと」と言ったばかりだった。その青山は前日、9回にサヨナラ打を打たれた。「存在が刺激になります」という八戸大の後輩、塩見の勝ちは消せなかった。

 守る“神”になったラズナーは「俺が神様だって!?

 神は1人だけだ」とクリスチャンらしく笑ったが、「抑えも先発も一緒。1球1球、ストライクを取っていくことが大事」と頼もしい。楽天ブルペンに待機するA、K、D。夏本番を前に“神スリー”で反攻態勢が整った。【古川真弥】