<オリックス0-3ソフトバンク>◇21日◇京セラドーム大阪

 流血マスクは不屈の戦闘ポーズだ。鼻骨骨折のオリックス鈴木郁洋捕手(36)が2戦連続でフル出場した。出血が続き、腫れで視野が次第に狭まる状態で果敢にリード。「昨日もいけたし、いけますと言った。迷惑をかけるようで、休む、外すとかは上(首脳陣)が判断すること」。鼻にガードをかぶせ、目元には内出血の跡。まぶたのつぶれたイケメン捕手の気迫が黒星の中で光った。

 20日の試合前練習中に送球が当たり、負傷。強行出場でサヨナラ勝ちに導いた後、神戸市内の病院で4カ所の骨折が判明し、陥没部分の修復手術を受けた。全治4週間。口がわずかしか開かず、食事もスプーンでかゆを流し込むのがやっと。「試合中、どんどん腫れて体も熱くなるし、まぶたが腫れて見えなくなった」。送球時に激痛が走り、4盗塁を許すのも無理はなかった。

 完封された和田からマルチ安打とバットでも気を吐いた。「骨が粉々になってるし、走ると衝撃が…」。9回の二塁打は痛みと口でしか呼吸できない苦しさの中から放った。チームの連勝は5で止まり、4位西武に3ゲーム差と迫られた。混戦のCS進出争いには鉄人鈴木のような強さが求められる。【押谷謙爾】