<巨人4-5横浜>◇5日◇東京ドーム

 2日連続で、初勝利を献上した。原巨人が最下位横浜にまさかの連敗。先発福田聡志投手(28)が4回途中でKOされるなど、7回までに5点をリードされる一方的な内容。8回に、途中出場の坂本勇人内野手(22)の16号グランドスラムで追い上げたのが数少ない見せ場だった。原辰徳監督(53)もふがいない敗戦に怒り心頭だった。残り11試合を全勝しても、自力では2位中日も上回れなくなった。

 怒り心頭。敗戦後の会見場に現れた原辰徳監督(53)は、真っ赤に充血させた目をさらに大きく見開いて、報道陣を見つめた。質問には、しばしの間隔を置いて「見ての通りだね」。答える言葉もない様子だった。数問に短い言葉で答えると「OK?」と一言。新たな質問が出ないと察するや、ペットボトルの水をつかんだ右こぶしを、テーブルに振り落とした。静まる会見場に「バン!」と、怒りがはじける音が響いた。

 8回、期待を膨らませるアーチがかかった。0-5と5点差の8回2死満塁。打席には坂本が立った。カウント2ボールからの3球目。外寄りの直球を左翼スタンドに運んだ。自身3本目の満塁本塁打で、1点差に迫った。ベンチで迎えた原監督の両手グータッチも勢いづく。だが、しかし。反撃はそこまで。数字上、自力では2位中日を上回れなくなった。

 2夜連続でプロ初勝利を献上した。横浜先発は来日初先発の左腕ブランドン。1日に中継ぎで投げたばかりで、中3日。左腕も想定し、右の矢野を1番に起用した巨人だったが、奇襲をはね返せず、6回5安打0点に抑えられた。チャンスは作った。1回2死一、二塁でラミレス一飛。4回2死一、三塁で代打坂本は三邪飛。5回は無死二、三塁でも無得点。不振の坂本をスタメンから外す荒療治を施したが、打線の活況は戻らなかった。

 プロ初勝利の献上は今季10人目。半分の5人が横浜勢だ。その横浜に10敗目を喫し、こちらも半分が初勝利ということになる。一気呵成(かせい)のラストスパートのはずが、横浜にまさかの2連敗。劣勢の中で満塁本塁打が出ても、勝利できないなんて。頂点を狙うチームの試合ではない。【金子航】